自由に飛翔するクリスチャン・マクブライドの新ユニット〈New Jawn〉
リズム・マスター、クリスチャン・マクブライドが、ニュー・アルバムをリリースした。〈New Jawn〉とスラングが名付けられたバンドは、〈New Thing〉を意味する。
今年、2度目のグラミー賞を受賞したビッグバンド、スティーヴ・ウィルソン(as)、ウォーレン・ウルフ(vib)をフロントに擁する《Inside Straight》、クリスチャン・サンズ(p)をフィーチャーしたトリオを率いて、マクブライドは多彩なサウンドを紡ぎだす。近年はトリオをメインに据えてきたが、クリスチャン・サンズが独立し、トリオを継続することが難しくなった2015年の12月、ヴィレッジ・ヴァンガードでデビューを飾ったのが、〈New Jawn〉だ。
「多くのリスナーに親しまれたトリオのサウンドから大きくシフトするために、あえて新たなピアニストを起用するのではなく、ピアノレスのバンドにした」とマクブライドは語る。
「ナシート・ウェイツ(ds)は1980年代半ばから知っている素晴らしいドラマーだが、今まであまり共演する機会がなかった。今回、満を持して声をかけたら面白そうだと乗ってくれた。マーカス・ストリックランドも、2000年頃から知っている。私のレギュラー・グループや、ビッグバンドにも2度ほどエクストラで参加してくれた素晴らしいプレイヤーだ。そしてジョシュ・エヴァンス(tp)は、ニューヨークのミュージシャン誰もが口を揃えて推薦してくれた、若手トランペッター。彼は多くの優秀なプレイヤーを育てたジャッキー・マクリーン(as)の薫陶を受けた最後の愛弟子だ。そのころは、まだ高校生だったが、見事な成長を遂げている」
このクァルテットは、昨年ジャズ・フェスティヴァル・サーキットを巡り、その柔軟でありながら、ストロングなサウンドを確立してきた。2017年の5月には、セント・ルイスの〈Jazz at the Bistro〉に4日間出演した。その時、観客のいない昼間のクラブで、4日間録音を敢行した。
「多忙な4人なので、スタジオ録音のスケジュールが組めなかったので、ギグの合間で録音した。それぞれが優れたコンポーザーであるメンバーが、オリジナル曲を持ち寄り、完成度をより高めるためにライヴ録音ではなく、無人のクラブでの録音を選んだ」とマクブライドは語る。ライヴの熱気が、アルバムに凝縮された。
「どんなスタイル、リズムの即興演奏も、本質的に自由なんだ」とマクブライドは断言。〈New Jawn〉は、空高く自由に飛翔する。