©Ebru Yildiz

マクブライドのメイン・バンドへと進化した、New Jawnが切り拓く新たな地平

 自己のビッグ・バンドや、コンボ、ソロ・プロジェクトや、レジェンドとの共演、ニューポート・ジャズ・フェスティヴァルのプロデュース、自らのレーベル〈Mister Brother〉でのプロデュース・ワークなど、多忙を極めながら、創造的な活動を続けている、現代のグルーヴ・マスター、クリスチャン・マクブライド(ベース)。彼が長年のメイン・バンドだったトリオを、クリスチャン・サンズ(ピアノ)の独立に伴い解散し、コードレスの2管クァルテットのNew Jawnを結成したのは、7年前のヴィレッジ・ヴァンガードでのことだった。

 2018年にはNew Jawnのファースト・アルバムをリリースし、ツアーを巡りそのサウンドを進化させてきた。パンデミック期間中の2020年、21年の間も、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ配信ライヴや、小康状態の時の有観客ギグなど、唯一の稼働しているマクブライドのリーダー・バンドで、名実ともにマクブライドのメイン・バンドとなった。

 そしてパンデミックの出口が見え始めた、2021年の年末のヴィレッジ・ヴァンガードのレギュラー・ギグの後にスタジオに入り、レコーディングされたのが、本作だ。マクブライド自身と、マーカス・ストリックランド(テナー・サックス/バス・クラリネット)、ジョシュ・エヴァンス(トランペット)、ナシート・ウェイツ(ドラムス)らメンバーのユニークなオリジナル曲と、今回はオーネット・コールマン(アルト・サックス/トランペット/ヴァイオリン)やソニー・ロリンズ(テナー・サックス)を含む3曲のカヴァー曲も、セレクトされている。

CHRISTIAN McBRIDE’S NEW JAWN 『Prime』 Brother Mister/キングインターナショナル(2023)

 「プレイを重ねるごとに、メンバーの相互理解が深まり、さらに大胆なプレイが可能になった。New Jawnは私のリーダー・バンドの中でも、最も自由奔放なユニットだ。バンド・サウンドの進化については、私よりもリスナーの方が感じられるかもしれない。4人でプレイするたびに、いつも素晴らしい感触得ている」とマクブライドは、New Jawnの現在を語ってくれた。

 2月末から、マクブライドはNew Jawnのリリース・ツアーに乗り出す。5月には、来日公演も予定されている。そして、マクブライドの多彩な活動も、復活する。「いつか、私の手がけている様々なフォーマットのバンドを統合したユニットをやりたいと思っている」とマクブライドは、その野望を語る。

 パンデミック中に熟成された様々なアイディアが噴き上がる、ポスト・コロナ・パンデミックの世界での、クリスチャン・マクブライドの新たな活躍と、New Jawnの更なる進化から目が離せない。

 


LIVE INFORMATION
CHRISTIAN McBRIDE’S NEW JAWN
2023年5月23日(火)ビルボードライブ大阪
[1st]開場/開演:17:00/18:00
[2nd]開場/開演:20:00/21:00
http://www.billboard-live.com/

2023年5月24日(水)、25日(木)ブルーノート東京
[1st]開場/開演:17:00/18:00
[2nd]開場/開演:19:45/20:30
https://www.bluenote.co.jp/jp/