PR
インタビュー

クリスチャン・マクブライド(Christian McBride)『For Jimmy, Wes And Oliver』ジョーイ・デフランセスコと捧げたジミー・スミスらへの讃歌

Joey DeFrancesco@Detroit Jazz Festival 2018, Christian McBride@NJPAC 2016, ©Takehiko Tokiwa

マクブライドとデフランセスコの、ジミー・スミス&フィラデルフィア・ジャズ讃歌

 「フィラデルフィアがなければ、ジャズは50年前に無くなっていただろう」と、クリスチャン・マクブライドは冗談ながら、半ば本気で語った。2011年の結成以来、2作連続でグラミー賞ラージ・ジャズ・アンサンブル部門を受賞しているクリスチャン・マクブライド・ビッグ・バンドの最新作は、同郷の旧友ジョーイ・デフランセスコ(org)をフィーチャーし、フィラデルフィア・ジャズのレジェンド、ジミー・スミス(org)と、ウェス・モンゴメリー(g)、オリヴァー・ネルソン(as,arr)へのトリビュート作品だ。

CHRISTIAN McBRIDE BIG BAND 『For Jimmy, Wes and Oliver』 Mack Avenue/King International(2020)

 1950年代、60年代のジャズ・ミュージシャンは地縁的繋がりが大きかった。全米のアフリカ系アーティストが多いエリアから、腕自慢が同郷の友人を頼ってニューヨークへ進出、一大勢力をなしていく。ニューヨークから車で1時間ほどのフィラデルフィアは、ベニー・ゴルソン(ts)、ジミー・ヒース(ts)らヒース・ブラザース、リー・モーガン(tp)、スタンリー・クラーク(b,el-b)と、古くから優秀なミュージシャンの供給源だった。ジャズ・オルガンの開祖であるジミー・スミスも、その一人だ。「多くの全米の都市ではジャズの伝統が廃れてしまったが、フィラデルフィアには子供への素晴らしいジャズ教育プログラムがあり、今も優秀なプレイヤーたちが生まれている」とマクブライドは、故郷を誇らしげに語る。その申し子と言えるのが、マクブライドと本作のもう一人の主人公ジョーイ・デフランセスコ(org)だ。37年前の中学時代に知り合った2人は、若き日からジャズ界のスターダムをのし上がった。少年時代、マクブライドはいつもデフランセスコから、スミスのレコードを聴かされていた。その頃の愛聴盤が、ウェス・モンゴメリー(g)と共演し、オリヴァー・ネルソン(as,arr)がアレンジを手がけた『Jimmy & Wes: The Dynamic Duo』と『Further Adventures Of Jimmy And Wes』だった。2人の久々のリユニオン・プロジェクトに、ジミー&ウェスがセレクトされたのは、自然な流れなのだろう。ウェス役には、マクブライドの30年来の友人であるマーク・ホイットフィールド(g)が起用され、マクブライドは「最もお気に入りのビッグ・バンド・アレンジャー」のネルソン役を務める。3曲で、ネルソンのアレンジをカヴァー、3曲のマクブライドのビッグ・バンド・アレンジをフィーチャーする。4曲は旧友の気のおけないセッションの、クァルテット・チューンだ。ハード・スウィングと、エンタテインメント性が身上のクリスチャン・マクブライド・ビッグ・バンドが、ジョーイ・デフランセスコというブースターを装着して、豪快にドライヴする。

TOWER DOORS