島根・出雲のレーベル、Local Visions(以下、LV)からUtsuro SparkのEP『Static Electricity』がリリースされた。
Utsuro Sparkは、ヴォーカルと作詞を担当する土萠めざめ、作曲を担当するPIPPIとコロッケの3人によるプロジェクト。LVを主宰する捨てアカウントによれば〈作曲のふたりが作った曲に、土萠めざめさんが作詞をして歌うというスタイルでインターネットを拠点に活動中です〉とのことだ。〈インターネットを拠点に活動中〉とは、いかにもLVらしい表現。
今回のEP『Static Electricity』には、SoundCloudやYouTubeで発表されている楽曲も含め、5曲が収録されている。リゾート感を漂わせるシンセ・ポップ、シティ・ポップの楽曲の数々は、メロディーからアレンジまで80年代のサウンドからの影響を強く感じさせる。一方で、危うげな儚さをもった土萠めざめの歌声やローファイな質感、浮世離れしたユーフォリックなサウンド・デザインが、チルウェイヴ以降の音楽であることも印象付ける。Lampのアルバム『彼女の時計』やOkada Takuroの『The Beach EP』との共振も聴けるはずだ。
そんなサウンドを視覚化しているのが、futureflavorによるアートワーク。丸みを帯びた輪郭線、ほのかにサイケデリックな色彩感覚、点描画やステンシシル・アートのようなテクスチャー……。SNJOの『未開の惑星』と並んでLVのベスト・アートワークでは?と思わせる見事なものとなっている(筆者はソフト・マシーンの『Six』を思い出した)。
LVのリリース作品は、本作で12作目を数える。3月に発表したコンピレーション・アルバム『Megadrive』から約8か月と考えると、尋常ならざるリリース・ペースだ。さらにNECO ASOBIのシングル“君と月とサイダー”、Tsudio Studioのアルバム『Port Island』の両作をカセットテープで、それぞれ11月5日(月)と11月17日(土)に限定数リリースすることも発表されている。LVの動向からは、ますます目が離せなさそうだ。
……と、お決まりの文句で記事を締めようと思ったところで、さらなる情報が届けられた。
12月9日(日)、兵庫・神戸のOtohatobaにてLVと〈lightmellowbu〉の共同イヴェント〈Yu-koh 体験版〉が開催される。LVからはTsudio Studio、Tenma Tenma、SNJO、pool$ideが出演。シティ・ポップ/AOR好きのディガー集団による共同ブログ、lightmellowbuからは台車ことINDGMSKとthaithefishが出演する。神戸周辺のディープな音楽ファンは、ぜひイヴェントに足を運んでほしい(ちなみに、〈Yu-koh〉には〈友好〉と〈遊行〉がかかっているとのこと)。インターネットとリアル、その両方に活動の場を広げつつあるLVからは、ますます目が離せなさそうだ。
Live Information
〈Yu-koh 体験版〉
12月9日(日) 兵庫・神戸 Otohatoba
開演/終演:17:00/21:00
出演
Local Visions:Tsudio Studio/Tenma Tenma/SNJO/pool$ide
lightmellowbu:INDGMSK/thaithefish
料金:1,000円(ドリンク代別)