大切にしていたもの
——これはステージだとどうなるのかな?っていう曲ですよね。
サキ「おもしろい感じになると思います。振りはハルナの言う花魁のイメージを自分もちょっと調べたり、映画の『さくらん』と安達祐実さんが出てる『花宵道中』を観て、その儚さとか切なくなるようなイメージを掴んだり。花魁の仕草とか、お座敷でやるリズム遊びみたいなのとか、ちょっとセクシー、エッチ系な動きを入れてみたりして」
——他の曲もいままさに振付けを仕上げていってる段階ということですね。
サキ「はい。振付けはマイカと私で分担してるんですけど」
マイカ「そう、いま考え中……ピーク時です(笑)。今回は“Message”と“Jealousy Marionette”の2曲は担当してます」
ユア「あと、“正しい答えが見つからなくて”はみんなでやるって言ってたよね?」
ココ「へんてこりんなヤツね」
——“RATESHOW”系の。
サキ「そうですね。みんなで作れたら」
ユユ「みんなで考えるの楽しい。その場のノリで出来たりするし」
——で、その“正しい答えが見つからなくて”はドクソンさんの作詞で、これも何かゲーセンに入ったら音が一気に入ってきた感じの、情報量の凄い曲というか。
サキ「何かゲームに出てくるメロディーの一音一音をそのまま発音していくようなディレクションもあったよね」
ドク「歌詞は意味よりも音で楽しめるように考えました。でも、イメージはありまして、意気込んで戦いに出発したパーティー、あのパーティーじゃなくて」
——RPGとかのパーティー。
ドク「そうです、そのパーティーが、強すぎる敵とか超えられない壁に打ちのめされて、腐りはじめて、どうしようもなくなって人に助けを乞う、ちょっと愚かな歌です。で、歌詞を書いた後で自分で気付いたことがあるんですけど、絶望して腐り果ててるのに〈タスケテ タスケテ〉って、何にすがってるのか考えたら、やっぱ希望なんだなと思って。〈絶望した、もう希望などない〉とかいう人でも、最後の最後は〈助けてくれ~〉ってなるじゃないですか?」
ココ「まだ諦められないってことだよね」
月ノ「深いな~」
ドク「どんなに絶望してても、人は最終的にやっぱ希望にすがりたい……」
月ノ「でも……求めちゃうよね」
サキ「〈求めちゃうよね〉(笑)」
ユユ「めっちゃピュアな相槌やん(笑)」
月ノ「何か、わかろうとした(笑)」
ドク「そうそう、求めちゃうんだなと」
ココ「これ、合いの手のコーラスとかはほぼドクが歌ってるんですよ」
サキ「むしろ、そこ以外は歌ってない」
——〈うねうねうねる~〉とか。
ドク「そうです、〈血みどろのはて~〉とか。あと、〈目指すはムービースター〉」
サキ「“TIE”でも〈ムービースター〉って出てくるよね(笑)」
ココ「〈ムービースター〉って単語が大好きなの、ドクは」
ドク「うん、『SiS 消滅の詩』って映画を作っていただいた後に冗談で〈うちらムービースターやな〉って言ってて」
——声のキャラが多い。“RATESHOW”の人もいきなり出てきますし。
ココ「おっ!」
ユア「流石」
——聴いてて笑ってしまいました。
ココ「いや、笑っちゃいますよね」
ドク「〈I WANNA MOVIE STAR!!〉とかは作詞した時にはなかった部分で、レコーディングの時に松隈さんと話してフィーリングで決めました。あと〈Put your hands up!!〉とかももともとなかったんですけど、いろいろ合いの手とか録って。〈1番終わったから2番いくよぉ~〉とか録ったんですけど」
サキ「あれはなくなったね(笑)」
月ノ「めっちゃおもしろかった~」
ドク「何かその場の閃きでいろいろ決まって、作っていくのが楽しかったです」
——まあ、このめまぐるしい勢いがドクソンさんの脳内なのかもしれませんね。
ココ「なるほど」
——はい。そして“CAN'T STOP”があり、10曲目の“BOND”はユアさんが作詞で。
ユア「はい。これは何かテーマがあるというよりは、ひとつの物語みたいなものにしたくて。〈これを伝えたい〉っていうことは自分の中ではありつつも、聴いた人や歌詞を読んでくれた人が、その人なりに読み取って想像してほしいなと思って書きました」
——壮大な曲調も相まって、喪失感みたいなものが読み取れるわけですけど。
ココ「私もちょっと心配になって、詞が決まった時にユアちゃんに〈何かあった?〉って訊いたんですよ。まあ、自分にあったことじゃなく物語な感じで書かれてるから、誰にでも沁みる歌だと思う」
ユア「うん。大切な人を亡くした人もいると思うし、人じゃなくても、誰でも自分の中で大切にしていたものを少なからず失ったことがあると思うので、そういうものとか事柄にも当てはまるように書きました」
——“CAN'T STOP”からの“BOND”とかが続いて、アルバムのラストはちょっと込み上げるような構成になってますね。
ユユ「はい。いつも傍にあるものって、当たり前だから、別に〈大切だな〉って改めて思うことってないじゃないですか? 家族もメンバーも、仕事で周りにいる人も。でも、失ってから初めてその大切さに気付いても遅いし、だからこそ、失ってしまう前に、いまある時にその大切さに気付きたいなっていう気持ちですね」
——まあ、そういう流れはCDで聴いて感じ取ってもらいたいなというところですね。
ユユ「そうです」
——あと、“BOND”とかの曲調から受ける印象として、今回は最初の『P.O.P』っぽい感じも少しするな~っていう。
サキ「そう、最初はアルバム全体のコンセプトを〈原点回帰〉みたいに言ってたんですよ。だから、けっこうEDM調も多いのかなと思います」
——そうなんですね。
サキ「それこそ初期はEDM調の曲がメインで、アイドル文化の中では先を行きすぎたというか、渡辺さんと〈お客さん的にちょっとノリづらかったのかもね〉みたいな話をした時もあって。今回はそのリヴェンジではないですけど、その時代をよりパワーアップして、そこに“LAST”みたいなガツッとエモい曲も加わって、『LAST GANG PARADE』というものに凄く相応しい作品になったと思います」
初心に戻る
——新年はWACKの合同ツアー〈Going Going WACK TOUR〉からですか。
ミキ「その前に〈WACKなりのアイドル甲子園〉がありますね、1月3日」
ユア「近々だとそこがいちばん大きいかも」
マイカ「毎年そこが重要なスタートになる」
サキ「いつも〈アイドル甲子園〉は呼んでいただいてるんですけど」
ココ「今回はWACKのグループだけで1日やらせていただくので」
——今回の出演順はどうなるんですかね?
ユユ「そう。いっつも年始にハラハラする」
ココ「緊張するよね」
月ノ「毎年そういう感じなの?」
マイカ「けっこうガチ」
ユユ「新年一発目だし」
ユア「縁起良くいかないとね」
——そこからアルバムが出て、WACKの合同ツアーの初日を迎えますね。
ココ「CLUB CITTA'、1月10日」
ユア「BiSHとのツーマンです」
月ノ「初日から出れるの嬉しい」
——あと、その翌日には3月のWACKオーディションを題材にした映画「世界でいちばん悲しいオーディション」も公開になりますね。マイカさんの株が上がる内容なんじゃないですか。
マイカ「いや~、どうだか。でも、予告動画を観ただけで、何かズシーンって蘇ってくるものがありましたね」
ユユ「いや、もう、予告編でマイカを観てさ、〈ああ、マイカ!〉って」
マイカ「それよりもあの映像の顔が真ん丸でビックリした(笑)」
月ノ「わかる。そういうの気になっちゃう。でもサムネが私とハルナで嬉しかった」
ハルナ「嬉しかった」
ココ「それがいちばん嬉しかった。だから、ホントにそういうことじゃん? いかに合宿の象徴的なパートを、2人が担ってたか」
マイカ「うん。動画の最後にハルナが丸まって倒れてて」
ユユ「終わったことやのにドキドキした。〈ハルナどうなっちゃうの?〉って」
マイカ「あれは観たくなる」
ココ「もう1月からいろんなことが楽しみ」
ユア「ね、盛りだくさん」
——そういう話題もありつつ、3月まで合同ツアーが続いていって。今回はアルバムにまつわるツアーがないぶん、そっちの本数がめっちゃ多いですね。
ドク「20本!」
ユユ「毎週末どこかでやってます(笑)」
ユア「逆に行かない場所が2か所しかない」
マイカ「何かちょっと悲しくなっちゃう」
月ノ「何なら制覇したかったね」
ドク「でも、多ければ多いほど、確実にいちばん変わらなきゃいけないですし」
サキ「そうだね。それだけ対バンする機会が多いってことだから、BiSとBiSHとEMPiRE、それぞれの良いところを何かひとつ絶対盗みたいなっていうのはありますね。それを決めて臨んだらまた、おもしろいツアーにできるかなって」
ココ「うん。そもそもツアーっていうものが凄く成長できる期間、機会だから。今回はギャンパレの力だけじゃ行けなかった場所もWACKの力で行かせてもらえるし」
ユア「連れてってもらうところが多いもんね。次は自分たちの力で単独で回れるぐらいの勢いになりたいね」
——そこが新年の目標でもありますかね。
ユア「グループも長く続いてきて、最近はギャンパレを好きって言ってくれる人がちょっとずつ増えて凄くありがたいんですけど、ツアーも始まるし、個人的にも2019年は初心に戻りたいなって思ってます。9人でチーム力も上がってきて、他にも大事な部分はあるけど、何より全力でライヴするっていう初心も忘れずに進んでいけたら」
サキ「初心のほうが伸び率がいいもんね」
ユア「そう、それぞれが初心に戻って、貪欲に上を向いていったら、もっともっと成長できるかなと思って。2019年はそういう年にしたいですね」