私生活では出産を経験、一方では復活の立役者たるLA・リードがレーベルを去ったことで、次の動きが待たれていたマライア。昨年はミゲル作のレトロ・ポップ“#Beautiful”が再起動を促すヒットとなるも、そのMV撮影中の怪我から制作が停滞し、結局はセットアップも不十分なまま出た感じなのは無念だが……やりたいことを無邪気に詰め込んだ中身には大満足の、通算14枚目のオリジナル・アルバム。やや過積載なぶんリスナーによって楽しめるポイントは多様なはずで、流麗な“You Don't Know What To Do”(弦のアレンジはラリー・ゴールド)やQ・ティップ製の“Meteorite”が彼女らしいダンス・トラックで印象的だ。初期の名唱を想起させるジョージ・マイケルのカヴァー“One More Try”も素晴らしい。