コラム

サンダーキャットらLA人脈が参加、リオン・ウェアの新作『Sigh』での艶やかな手捌きに見る、不変の作法

【IN THE SHADOW OF SOUL:ソウル・ミュージックの光と影(連載)】[第78回]永遠のリオン・ウェア Part.6

LEON WARE Sigh kitchen/Pヴァイン(2014)

 ハーヴィー・メイソンの新作『Chameleon』ではリオンの書いた“If I Ever Lose This Heaven”が取り上げられていて、それだけならよくあることだとしても、同作にカマシ・ワシントンマーク・ド・クライヴロウが参加していることにはやはり縁を感じてしまった。昔からリオンが目をかけていたカマシは新作『Sigh』でも演奏しているし、マークとは昨年のシングル“Work Me”で手合わせしたばかりなのだから。その新作は前作『Moon Ride』から6年ぶりとなるが、その間にもリオンは本文にもあるクァドロンとのシングル(CD化)やリール・ピープルらとのコラボ曲を発表してきているわけで、そうやってシーンの前線とも繋がる影響力の大きさを現在進行形で発揮しているからこそ、この数年の彼はリヴィング・レジェンドとして後進から崇められ続けているのだろう。

【参考動画】マーク・ド・クライヴロウが参加したリオン・ウェアの2013年のシングル“Work Me”
リール・ピープルによるリミックス曲

 

 とはいえ、それらすべての成果をアルバムに持ち帰るわけでもなく、自分だけのセンシュアルな世界を守り続けるスタンスも毎度の通り。表題曲の“Sigh”は『Inside Is Love』(79年)所収の“Small Cafe”でかつて絡んだロン・ローカーとの共作。3曲を主役と共同プロデュースするテイラー・グレイヴスをはじめ、演奏陣には先述のカマシ、サンダーキャット(彼とは10年前にスペイセックの作品でもニアミスしていた)と兄のロナルド・ブルーナー(ドラムス)、さらにはR&Bファンにもお馴染みのロブ・ベーコン(ギター)、重鎮フレディ・ワシントン(ベース)ら気心の知れたLA人脈が並ぶ(女声のバックはトーラ・スティンソンニッキー・グリア)。そんな新旧の繋がりを縦糸に、タイムレスな美意識という横糸で織り上げられた『Sigh』。時間帯も季節も問わず空気を艶かしく染める音像は、汲めども尽きぬ官能芸術家の才をまたしても証明するだろう。

【参考動画】リオン・ウェアの79年作『Inside Is Love』収録曲“Small Cafe”

 

▼関連作品

左から、ハーヴィー・メイソンの2014年作『Chameleon』(Concord)、“Work Me”を収録したコンピ『Luxury Soul 2014』(Expansion)、クァドロンの2013年作『Avalanche』(Epic)、サンダーキャットの2013年作『Apocalypse』(Brainfeeder)、スティーヴ・スペイセックの2005年作『Space Shift』(Sound In Color)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

Part.1:リオン・ウェアの無二な音世界―ソウル・ミュージックの裏街道歩むレジェンドの〈偉大なるマンネリ〉が再評価され続ける理由

Part.2:世界はリオン・ウェアに包まれている(前編)―自身の作品からMJ、マーヴィン・ゲイまで、リオンの仕事を振り返る

Part.3:世界はリオン・ウェアに包まれている(後編)―マルコス・ヴァーリやボビー・ウーマックらリオンの仕事を振り返る

Part.4:オマーらUK勢からのラヴコール、USで求められた70sソウルの精神性―90s以降のリオン・ウェア再評価の背景

TOWER DOORS