OH OH OH, YOU CAN COUNT ON ME!
鉄壁のアンサンブルを支えた歴代の主要メンバーをチェックしてみよう

 何たってデビュー45周年だ。それだけの期間をサヴァイヴしてきたシカゴだもの、メンバーの入れ替わりが多くあって当然。というわけで、すでに籍を外れたメンツも含めて主要構成員を紹介しよう。

 まずは“25 Or 6 To 4”や“Saturday In The Park”など多数の名曲を書いてきたロバート・ラム(キーボード)。結成時からグループを引っ張る彼は、今日も瑞々しい感性を維持しつつ、煌めくようなメロディアス・チューンを作り続けている。近年は積極的に課外活動も展開し、衰え知らずのソングライティング・センスは最新ソロ作『Living Proof』でも確認可能だ。

ロバート・ラムの2012年作『Living Proof』トレーラー

 さて、バンドが〈ブラス・ロックの旗手〉と呼ばれたのは、言うまでもなくリー・ロックネイン(トランペット)、ウォルター・パラセイダー(サックス)、ジェイムズ・パンコウ(トロンボーン)の存在があったから。パンチの効いた彼らのホーン・アンサンブルこそ、シカゴをシカゴたらしめてきた。アーバンなグルーヴを生み出すときもまた魅力的で、本隊以外でもビー・ジーズ『Spirits Having Flown』(79年)、マルコス・ヴァーリ『Vontade De Rever Voce』(81年)などに全面参加しているぞ。

 続いて、86年からヴォーカルとベースを担当するジェイソン・シェフは、いまやグループの顔。作曲家としても才能豊かで、代表的な仕事にはボズ・スキャッグス“The Heart Of Mine”が挙げられる。そのほか、90年にメンバー入りしたトリス・インボーデンは、ケニー・ロギンスやニール・ダイヤモンド、ブライアン・ウィルソンらのバックを経て引き抜かれた職人気質のドラマーだ。

 旧メンバーでは、ピーター・セテラが筆頭格だろう。彼のハイトーン声は〈ヴォイス・オブ・シカゴ〉とも呼ばれ、とりわけバラードでその魅力を存分に発揮。脱退後すぐに発表した86年作『Solitude/Solitaire』をはじめ、ソロでも大きな成功を収めている。そして、『Chicago 16』から始まる第2の黄金期を担ったビル・チャンプリン。元サンズ・オブ・チャンプリンの一員で、ソロでも『Single』なるAOR名盤を放っていた彼は、バンドのコンテンポラリー化の推進において欠かせない存在だった。また、セルジオ・メンデスのブラジル6677でも活躍したパーカッショニスト、ラウジール・ジ・オリヴェイラもシカゴの音楽的な進化に貢献したひとり。彼の多彩なリズム・ワークなくして、70年代後半のラテン~カリブ風味な名曲群は誕生し得なかったはずだ。

ピーター・セテラの86年作『Solitude/Solitaire』収録曲“Big Mistake”

 最後にリード・ギタリストで、バンドの精神的な支柱だったテリー・キャスを。時に無鉄砲なまでの暴れっぷりを見せる彼の演奏こそ、初期シカゴのロックな部分を担っていたことは間違いない。リチャード・マニュエル的な哀愁を醸す歌声も最高で、ジェイムズ・ウィリアム・ガルシオによるサントラ『Electra Glide In Blue』でのバラード“Tell Me”など、涙なしでは聴けない名唱だ。銃の暴発で亡くなるという人生の結末が何とも悲しい……。

ジェイムズ・ウィリアム・ガルシオの74年のサウンドトラック『Electra Glide In Blue』収録曲“Tell Me”

 

▼関連作品

左から、ロバート・ラムの2012年作『Living Proof』(Blue Infinity)、ビー・ジーズの79年作『Spirits Having Flown』(RSO/Rhino)、マルコス・ヴァーリの81年作『Vontade De Rever Voce』(Som Livre/ボンバ)、ボズ・スキャッグスの88年作『Other Roads』(Columbia)、ブライアン・ウィルソンの88年作『Brian Wilson』(Reprise / Friday Music)、ピーター・セテラの86年作『Solitude/Solitaire』(Warner Bros.)、ビル・チャンプリンの78年作『Single』(Full Moon/Epic)、セルジオ・メンデス&ブラジル66の70年作『Stillness』(A&M)、ジェームズ・ウィリアム・ガルシオが手掛けたの74年のサントラ『Electra Glide In Blue』(United Artists/Quartet)
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