DISCOGRAPHIC CHICAGO――シカゴを知るための9枚

CHICAGO Chicago II Columbia/Rhino(1970)

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長期化するヴェトナム戦争への怒りを込めた全米3位のブレイク作。レッド・ツェッペリン曲を引用したヒット・シングル“25 Or 6 To 4”など、ハード・プログレなナンバーに目が行きがちだけど、ニュー・ソウル感覚を纏った序盤のメロウ・チューンも味わい深いです。 

 

CHICAGO Chicago V Columbia/Rhino(1972)

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ライヴ盤を挿み、この4作目で初の全米1位を記録。変拍子の効いたジャズ・ロック群で結成時からの前衛性を保ちつつ、クロスビー・スティルス&ナッシュ的なコーラスを用いるなどポップな魅力も顕在化していきます。代表曲“Saturday In The Park”はここに収録。

ブラジリアン・グルーヴが心地良い“Bright Eyes”ほか、フリー・ソウル視点で人気の一枚です。音が柔らかくなったのは、シナトラ仕事で有名なパトリック・ウィリアムズによる弦アレンジのおかげ? ニューオーリンズ・ジャズ調やビーチ・ボーイズ風など遊び心もたっぷり!

CHICAGO Chicago X Columbia/Rhino(1976)

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性的な意味も匂わせた(?)この〈X〉では、50sライクなロックンロールにラテン・ソウル、カリプソ曲などで下半身の強化が行われ、グルーヴ感はキャリア随一! そのなかで異彩を放つセテラの歌った“If You Leave Me Now”が大ヒットし、後のバラード路線の道筋を作ることに。

 

CHICAGO Chicago 13 Columbia/Rhino(1979)

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フィル・ラモーンがプロデュースした本作は、ルーファス&チャカ・カーン曲のディスコなカヴァーで幕開け。音の変わりようにファンが戸惑ったか、セールス不振に終わったものの、ジョージ・ベンソン“Breezin’”級に爽やかな終盤のフュージョンなどいまの耳にはヒットしそう。

CHICAGO Chicago 16 Full Moon/Rhino(1982)

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レーベルを移籍して心機一転。デヴィッド・フォスターを指揮官に、ビル・チャンプリンをメンバーに迎えた最初の作品です。珠玉のバラード“Hard To Say I’m Sorry”など、代名詞のホーンを隅に追いやって耳触りの良い鍵盤と歌を前に出し、AORな新生シカゴを印象付けました。

 

CHICAGO Chicago 19 Full Moon/Rhino(1988)

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セテラが脱退して2作目。そろそろフォスター印のバラードにも飽きてきた彼らは、チャス・サンフォード(スティーヴィー・ニックス)にプロデュースを委ね、パワー・ポップへ接近しています。ダイアン・ウォーレンら珍しく外部ライターを多数起用し、どの曲も美メロ揃い。

〈XXI〉や〈21〉じゃなく、こうタイトル表記したのは、ダニー・セラフィン脱退を経て再出発しようという気持ちの表れ。シン・リジーやキッス仕事で名高いロン・ネヴィソンの旗振りによって前作〈19〉以上にエレキをフィーチャーし、ビッグでハードなロックを聴かせます。

スタンダード集やホリデイ盤が続くなか、オリジナルの新作としては15年ぶりとなった一枚。タイトなブラス・ロックとパワー・バラードが良い具合で混在し、もともとシカゴの大ファンでプロデューサーに名乗り出たというラスカル・フラッツのジェイの深い愛を感じますね。