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■Keishi Tanaka

バンド、Riddim Saunterの解散後からソロ・アーティストとして活躍を続けるKeishi Tanaka。力強く伸びやかな歌声と詩情豊かな歌詞で人気を誇るSSWが、4作目のアルバム『BREATH』をリリースする。2枚組のベスト・アルバム『CLIPS』に続く待望と言っていい新作には、新たなフィールドへと進もうとするKeishi Tanakaの意志が高らかに表明された楽曲が詰まっている。詩集の発表や文筆業など、音楽に留まらない幅広い活躍をする表現者に〈未来ノ和モノ〉について訊いた。

――未来や世界のリスナー/ユーザーに向けた本作の聴きどころは?

「日本人がやっているとわかる音楽。それはブルー・アイド・ソウルのような考え方なのかもしれない。インプットとアウトプットのバランス。心地よい音楽でありながら、心に残るものをどれくらい仕掛けていけるか。ただ流れてしまう音楽ではなく、奥行きのある音楽。僕の2019年のモードと共に、未来のリスナーには言葉や意味を、世界のリスナーには日本を感じてもらえればうれしいです」

――今後の日本の音楽シーンや世界のシーンの展望について教えてください。

「いまは、今後の音楽シーンをあまり意識してないです。最近は特に変わるスピードも早いし、考えても仕方ないかなという感じ。例えばリリースの方法でも、〈いまならどうするか〉をその度に決断するしかないと思ってます。人も機械もサービスも相性。自分が楽しんでやれることはやれば良い。自分の感覚を信じてやるしかない。音楽シーンがどうなろうと、音楽はなくならない」

――日本人の感性や音楽で優れていると思われる部分は?

「歌詞。日本語にしかない美しい言葉、表現がたくさんある」

――そういったなかで、Keishi Tanakaさんはどう存在していきたいですか?

「作っているときは自分のため、完成したものは誰かのため。僕の音楽はそうありたいと思っています。なので、自分を含めた人の気配みたいなものを無視することなく音楽を発表し続けていけたらなと。未来を生きる人に、2010年代の和モノとして今作が聴き続けられていたらうれしいですね。そういう音楽をこれからも残していきたいです」

 

■Kan Sano

ヒット作『k is s』から約2年半、キーボーディスト/プロデューサーのKan Sanoから遂に新作『Ghost Notes』が届けられた。シングル “DT pt.2” “Sit At The Piano”がストリーミング・サーヴィスで200万回再生を突破するなど、追い風が吹くなかでのリリースだ。一方、Charaのツアーでバンドマスターを務め、絢香らシンガーの楽曲を多数制作するなど、昨年はその名を聞かない日はなかったほど。ドラムからベース、ギター、トランペット、ヴォーカルまで、あらゆる楽器を操る稀代の音楽家に〈未来ノ和モノ〉というテーマの質問に答えてもらった。

――未来や世界のリスナー/ユーザーに向けた本作の聴きどころは?

「邦楽にも洋楽にも聴きたい音楽が見つからず、自分の居場所が無いと感じてる人にこそ聴いてほしい。

共感原則に基づいていないパーソナルなポップスを作りたかった。自分自身がそういう音楽を聴きたかったから。何かと生きづらい世の中だけど音楽を聴いている時くらいは自分の世界に浸っていたいし、自由でいたい」

――今後の日本の音楽シーンや世界のシーンの展望について教えてください。

「日本でもストリーミングが普及してきてアーティスト活動の選択肢と可能性が増えたことはうれしいことなのですが、その一方で世間一般の価値観や見えない同調圧力、大量消費社会に常日頃違和感を感じてる自分にとって、世間と自分との距離はますます拡がっているように感じます。日本と海外の距離も随分と離れてしまった。才能のある人はどんどん海外に出て行くし、このままでは日本の文化は痩せ細り、奥行きの無いものになってしまうと危惧してます。いま日本で活動するアーティストは自分のやりたいことをやりきる強固な信念と行動力が必要だし、そんな彼らをサポートする人やシステムも必要です」

――日本人の感性や音楽で優れていると思われる部分は?

「余白に意味や価値を見出せるところ。

物に魂の気配を感じたり、擬人化して感情移入したりできるところ」

――そういったなかで、Kan Sanoさんはどう存在していきたいですか?

「ミュージシャンとしてはアメリカの音楽に多大な影響を受け留学もしましたが、根本の部分では日本で培った感性に基づき創作してます。そしてその感性は世界に胸を張って示せるものだと思ってます。80歳まで現役で活動することを目標にしてるので、これからも地道に頑張っていきます!」

 


Live Information

Keishi Tanaka BREATH RELEASE TOUR
6月9日(日)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
6月21日(金)神奈川・横浜 F.A.D
6月27日(木)京都 MUSE
6月28日(金)広島・福山 Cable
6月29日(土)香川・高松 TOONICE
7月7日(日)福岡 INSA
7月24日(水)栃木・宇都宮 HELLO DOLLY
7月25日(木)宮城・仙台 enn 2nd
8月2日(金)三重・四日市 Club Chaos

Kan Sano Ghost Notes Tour 2019
6月7日(金)大阪・心斎橋 CONPASS ゲスト・アクト:中村佳穂
6月8日(土)愛知・名古屋 Live & Lounge Vio ゲスト・アクト:Shin Sakiura
6月13日(木)佐賀 Loretta
6月14日(金)長崎 Club BETA
6月15日(土)熊本 LIVE & DINING 酔ing
6月16日(日)福岡 kawara CAFE & DINING -FORWARD-
6月22日(土)東京・渋谷 WWW
6月29日(土)石川 金沢21世紀美術館 シアター21