音楽ライターの南波一海がタワーレコード内に設立したアイドル専門レーベル、PENGUIN DISCの看板4人娘=RYUTistが、ニュー・シングル“センシティブサイン”を4月23日にリリースした。表題曲は21歳のシンガー・ソングライター、シンリズムが作詞・作編曲を担当。さらに、カップリングの“素敵にあこがれて”はカメラ=万年筆/Orangeadeの佐藤望が作詞・作編曲、“バ・バ・バカンス!”はmicrostarとWack Wack Rhythm Bandが共作と、ポップ・ファン垂涎の3曲を収めたCDになっている。
Mikikiでは同シングルのリリースを記念し、プロインタヴュアーの吉田豪がメンバーひとりひとりに個別インタヴュー! 横山実郁編、宇野友恵編に続く第3回は、リーダーである佐藤乃々子編を掲載する。アイドルを始めたきっかけから、高橋みなみや℃-ute・矢島舞美、ももいろクローバーZ・百田夏菜子ら佐藤の思う理想のリーダー像にRYUTistの今後の展望まで、グループを率いる最年長メンバーが心の内を明かしている。 *Mikiki編集部
★“センシティブサイン”リリース記念、メンバー個別インタヴュー:記事一覧

〈よくアイドルできたね〉って言われます
――緊張してますか?
「もう3時間くらいずっと緊張してます……」
――長い! まず自分の性格を分析すると、どんな感じですか?
「何を考えてるか自分でもよくわからないのと、ちょっとまじめすぎる。私は悪い意味でまじめすぎるところがあるなって思います」
――悪い意味なんですね。
「はい。振りとか歌もキッチリしようとしすぎちゃって固くなったり、面白味が出にくいなって思ってて。もうちょっと柔らかく大雑把に考えられたらいいなって」
――その性格の人がリーダーをやった結果、RYUTistがまじめでちゃんとしたグループにはなってるけど、もうちょっとパンチが欲しいみたいな思いがあるんですかね。
「そうです、それがすっごくあります」

――子供の頃はどんな人でした?
「とにかく戦隊ものさんとかウルトラマンさんが大好きで。幼稚園のときも、どうしてもウルトラマンさんの鞄がよくて。でも、お母さんが〈キティちゃんにしなさい〉って言ってて、すごい泣いたのを覚えてます。部屋も全部ウルトラマンさんで揃えてて、どちらかというと男の子っぽい感じ。あと、お遊戯会でもぜんぜん笑わない。『ねずみの嫁入り』のねずみ役で主役だったんですけど、1回も笑わなかったです」
――それはなんでまた?
「うまく笑えなかったんですよね。練習のときも先生に毎日〈笑わないと出られないよ〉って怒られてたんですけど笑えなくて」
――ステージで笑顔を出せないのって、アイドルとしては致命的ですよ!
「そうなんですよ、ホントに……。だから(幼稚園の)先生に会うと、〈よくアイドルできたね〉って言われます。小っちゃい頃からの写真を見ていくと、小学校2年生くらいでちゃんと笑えるようになってて、笑えるようになれてよかったです」
とりあえず踊りたかった
――この仕事を始めようと思ったきっかけはなんだったんですか?
「ダンスがやりたかったんです。姉がダンスをやってて、姉が踊ってるDVDとか観て私も踊りたいなって思ってたんですけど、そのときは高校に入ったばっかりでバイトもできなかったので、レッスン代も払えなくて。だから高校卒業してからかなと思ってたら、新潟のお祭りでフライヤーをもらって。アイドル・アーティストのオーディションでダンス・レッスンが無料って描いてあったので、〈これだ〉と思ってダンスに興味がある友達と一緒に受けました」
――そしたら友達は?
「落ちちゃって私だけ受かって。半分受からないと思ってたんですけど、じゃあやってみようと思って始めました」
――アイドルをやりたいわけじゃなかったんですね。
「やりたくないわけでもなかったんですけど、とりあえず踊りたくて。始まりはなんでもいいかなと思って入りました」
――それで最初のメンバーが5人揃って。
「けっこう年齢が離れてるじゃないですか。むぅたん(五十嵐夢羽)とは5つ離れてて。最初に呼ばれたのがむぅたんとともちぃ(宇野友恵)とわっかー(大石若奈、2016年に卒業)の小っちゃい子組だったので、もう絶対に呼ばれないと思ったんですよ。その後に呼ばれたので、こんな小っちゃい子とやっていけるのかなって思いました。妹より下だったので。でも、最初は同い年の優里(木村優里、結成翌年の2012年に卒業)もいて、子供たちとワチャワチャしながら優里とお話ししたり、うまくやっていけたと思います」
――5人時代、いいバランスだったと思うんですよ。
「はい、同い年の優里がいたのでやりやすかったです」
――ところが、そのゆりり(優里)がすぐにいなくなっちゃうわけで。
「はい、いきなりでビックリしました。ぜんぜん考えてなかったというか、誰かが卒業するって頭にかけらもなかったので。話も何も聞いてなかったので動揺しましたね」
――相談とかもぜんぜんなかったんですね。
「なかったです。優里がいろいろ考えてるときに、私は修学旅行かどっか行ってたんですよね。で、連絡も取れなくて、帰ってきたら卒業が決まってて。レコーディングの前に私はマネージャーさんから話を聞いちゃってたから、ショックでレコーディングの記憶がないですね」
――同い年の子がいるから成立してるようなバランスだったのが、〈これからは子供3人と一緒にやってください〉ってことになって。
「やっぱり優里と私と子供組っていう感じだったので心配でしたね、これからどうやっていけばいいんだろうって。むぅたんも優里のことすごく慕ってたので、それも心配でしたし。むぅたんがやりにくかったらどうしよう、とかもありましたけど、誰かが卒業するとその子のぶんを補おうとするのか、みんながどんどん大人っぽくなって成長していったので、やりにくいなっていうのは意外とあんまりなかったですね」
――ゆりりは話しやすかった印象があります。
「そう、みんな言ってました。フレンドリーでイケてる感じの(笑)。優里は1人だけ違う感じがしましたね、元気な感じで」
RYUTistは謙虚で抑え気味なところが新潟っぽい
――その結果、大人な乃々子さんがリーダーとしてまとめていかなきゃいけなくなって、悩んだりはしたんですか?
「しましたね……。いまは悩んでないんですけど、リーダーってやったことがなかったので、みんなにもっと怒ったほうがいいのかなとかすごい考えて。私はあんまり言えないのでどうしようと思ったんですけど、スタッフさんが〈無理に怒らなくていい〉って言ってくださって、それでちょっと肩の荷が下りた感じがしました。怒らなくてもちゃんとしっかり言えば伝わるし、怒ったから伝わるってわけじゃないから、私なりの口調で伝えることは伝えて、あとは穏やかに進んでいこうかなって」
――ボクの持論で、アイドル・グループはリーダーのキャラクターがグループの空気を作るっていうのがあって。RYUTistのこの空気感は、乃々子さんのそういう姿勢で作られたものだと思うんですよ。
「へーっ、あんまり思ったことないです」
――その結果、この平和なグループになったってことで。
「平和ですね、よかったです」
――RYUTistはなぜこの平和な空気を保ててるのかが、ホント不思議なんですよ。運営の安部(博明)さんとか比較的アウトロー寄りな人じゃないですか。
「フフフフ、そうですね」
――配信を観慣れてる人はいいですけど、初見だとハラハラすると思うんですよね。
「フフフフ、アーカイヴ残せないのがいっぱいある(笑)」
――それでなぜこの空気が保ててるんだろうって。
「なんでだろう? 我が我がって人があんまりいないからかな? ともちぃはちょっとあるかもしれないですけど、みんな譲り合ったり、メンバーの周りの子のことを優先して考えたり、ホントいい子たちなので。だから平和なんじゃないですかね。前に出なさすぎてよくないことはあったんですけど、みんな謙虚というか抑え気味なところが新潟っぽくて平和なのかなと思います」
――ただ、抑え気味なままでいいのかなという思いもある。
「ありましたね。ステージでトークしててもどんどんうしろに行っちゃったりとかよくあるので、もっと前に前にっていう精神も大事だなって思います」
――新潟の県民性なんですかね? Negiccoさんも比較的うしろに下がりがちなタイプなので。
「そうなんですか? (新潟・The)PLANETさんでライヴしてたときも、アップアップガールズ(仮)さんが……」
――あの人たちは前に前に出る人たちですね(笑)。
「ホントにギリギリで前まで出られるので、それを観て私たちももっとギリギリまで出ようってことになったんですけど、いつの間にかまた下がるようになってて。〈前へ前へ精神〉はちょっと持ちたいですね」
――アプガはハロプロ(ハロー!プロジェクト)から一度見放された人たちだから、黙ってたら埋もれちゃうし、とにかく何かするしかないってことなんでしょうね。
「そっか……。私たちは4人がそういう感じだから」
――誰かが1人だけ〈はーいはーい!〉って前に出ることもなく、〈これでいっかー〉と。
「そうなっちゃうんだと思います」

みくちゃんが入ってくれたのは、すごく救われました
――結果、それがいいほうに出てるとは思いますよ。RYUTistで一番の波乱は、わっかーの卒業なんですか?
「そうですね。それもホントにビックリしました、何も聞いてなかったので。私より年下の子が先にいなくなると思ってなかったのでビックリして。それと同時にみくちゃん(横山実郁)の加入も聞いたので複雑で。わっかーの卒業ってだけだったら、私はもう悲しみにふけってそのままズーンだったんですけど……」
――〈私がもうちょっとリーダーとしてちゃんとしてたら、こんなことにはならなかったかもしれない〉とか。
「それは思いましたね。でも、みくちゃんの加入もあるって話をすぐ聞いて、それで希望が持てたというか。ソロでやってたみくちゃんも見てて、明るいしすっごいかわいいしキラキラしてるし、全国レベルの子だなって思ってたので」
――全国レベル!
「私たちはちょっと田舎な感じというか素朴な感じ? それが自分たちでもわかってたんですけど、みくちゃんがソロでやってるときは都会っ子のイメージがあって。そんなキラキラした子が入ってくるんだと思うと、もしかしたらRYUTistもパワーアップするんじゃないかなっていう希望もあって。なので、みくちゃんが入ってくれたのはすごい救われましたね」
――うまいやり方だったと思いますよ。
「そうですね、フォーメーションも4人そのままできたし。みくちゃんは覚えるのすごいたいへんだったと思うんですけど、入ってくれてよかったなって思います」
――グループとしてもいい空気になってきたというか。
「変わりましたね。すごい元気だし。ホントに最初だけ遠慮してたんですけど、1か月後ぐらいにはどんどん(こっちに)来る感じになっていっぱい話してくれたし、ずっと笑ってるし。私たち、前は楽屋にいてもあんまりしゃべらないでおとなしくしてたんですけど、みくちゃんが入ったら〈マジカルバナナしよう〉とか、とにかくゲームしたがるようになって。会話も増えたし笑うことも前よりさらに増えたなと思って、メンバー内の雰囲気も明るくなりましたね」
――何がプラスに転がるかわからないもんですよね。
「そうですね。みくちゃん、よかったです。トークもだんだん柔らかくなってきましたね。もともとトークが得意だったのか、みくちゃんはソロのときMCですごいしゃべってたんですよね。怒られるくらい長く。そういう経験もあったせいか、どんどんしゃべってくれるのでMCでも助かりました」
――その結果、メンバーの関係性も変わっていって。
「はい、変わりました。とにかく明るくなりました」
取り残されてる感じ
――乃々子さんはいままで悩んだ瞬間はあったんですか?
「うーん……」
――年齢的にも最初に進路を考えなきゃいけないタイミングはあったわけじゃないですか。
「そうですね、たしかに。もともと看護師さんになりたくて、高校も看護師さんになるための学科だったりしたので、土曜授業もあったんです。でもRYUTistは土曜日にイヴェントがあるので、デビュー当時は学校を優先してたんですけど、やっぱりRYUTistをやりたいなっていう気持ちもあって。そのときはどうしようか悩んだんですけど、高校2年生が終わるときに科を替えて、大学に行って授業を受けたりしてたのもやめて、RYUTistに専念しようと思ってクラス変更して普通科に行ったんですけど、そこはちょっと悩みましたね。でも、結果的によかったです」
――じゃあ、早い段階で腹を括ってたんですね。
「はい、高校3年生の前に決めました。楽しかったので」
――この道で生きていくのって金銭的にもたいへんじゃないですか。
「そうですね。でも、楽しければいいかなって。あんまり深く考えてないです、明日のことを考えるぐらいで(笑)」
――ダハハハハ! 手応えのある活動ができていれば、とりあえずはいいかなって(笑)。
「はい、そんな感じです」
――それこそ同級生がどんどん大人になっていることを実感する年齢だと思うんですよ。
「そうですね、幼なじみが学校の先生になってもう担任を持ってたり、子供がいたりするので。私は気持ち的には高校生のままで止まってるんですけど、たまに会ったときにそういう話を聞くと、私もそんな年齢なんだってそこで知りますね。活動してるとぜんぜんわからないんです」
――すごいわかります。周りに真っ当に生きている人がいない生活を送ってると、すっかり麻痺しちゃうじゃないですか。
「そうなんです、麻痺しますよね」
――1年に1回ぐらい現実を突きつけられて、自分だけ時間の流れから取り残されてる感じが……。
「ありますよね、取り残されてる感じ」
――まあ、楽しいからいいんですけど。
「はい、ぜんぜんいいです」
――じゃあ、活動にはほぼ迷いはなかったんですね。
「はい、ないですね。楽しくやってます」

高橋みなみ、℃-ute矢島舞美、ももクロ百田夏菜子……理想のリーダー像
――リーダーに向いてないんじゃないかなって思う瞬間はあったんですか?
「私の考えるリーダー像がたかみな(高橋みなみ)さんだったので」
――あそこまでになるのは無理ですよ(笑)。
「フフフフ、あの感じがリーダーなんだっていうのが頭にこびりついてたので、しっかり言わなきゃと思ってちょっと空回っちゃったり」
――あの時期のたかみなさんに1回取材しましたけど、ボクもヘコヘコするしかないぐらいにリーダー・オーラがすごくて。
「何百人をまとめてたんですもんね。私はそれができないからすごいなって思います」
――そうなろうとした時期があった。
「一時期ありました。でも、ぜんぜんできなくてどうしようって」
――たかみなをやるには周りのサポートも必要ですからね。〈たかみな怒ってるよ!〉みたいに言ってくれる人が。
「そうなんですよ。(自分は)そういう感じにしっかり言える人ではなかったので。でもあるとき、℃-uteさんの矢島舞美さんみたいに、しっかり言わないけどメンバーのことを思いやって柔らかくメンバーをまとめるみたいな感じのリーダーさんもいるんだよっていうのを教えてもらって、自分のやり方でいいんだなって。いろんなリーダーさんがいるんだなって、そんなに気を張らなくていいんだなと思いました」
――Berryz工房と℃-uteのリーダー対談の司会をやったことがあって、〈昔はメンバーがよくケンカしてたんですよ。シール交換してて、そっちのシールのほうがいいとか悪いとかで〉って、すごい子供でほっこりしました。(笑)。
「かわいいですね(笑)」
――そりゃあ小学生グループはそうなるだろうと思ったんですけど、RYUTistはケンカがぜんぜんないみたいですね。
「ないですね、ホントに」
――ただ、ケンカしたほうがいいこともあるし、ケンカして仲良くなるグループもあるんですよね。
「そうですね、ケンカして絆が深まるみたいな感じもあるので、一時期ケンカしようっていう話も……」
――ダハハハハ! そんな話になったんですか!
「なったんですけど、結局できなくて。難しかったですね、ケンカしようと思っても。自分を無理に変えても不自然な感じがみんな出ちゃうと思うので、自然体が一番いいかなって。やっとそういうふうに思えるようになりました。たかみなさんにはなれないなと思ったので、このままいこうと思います。難しいですよね、性格を変えてまでやろうとするのは」
――みんな向き不向きはあって、それこそ百田夏菜子さん(ももいろクローバーZ)もたかみなになろうとして1日であきらめたって言ってました。
「1日!?」
――まったく向いてなかったって(笑)。
「そうなんですね……夏菜子ちゃん大好きです」
――これでいいんだと思いますよ。RYUTistが安部さんの色に染まることなく平和な空気が保ててるのは、乃々子さんの力なんだと思います。
「そうですか? よかったです……たしかに染まらなかったし、染まったらトゲトゲしそうですよね(笑)」
――ダハハハハ! RYUTistは最初から不思議なグループではあったと思うんですよ。結成直後から、おかしなカヴァーをやる※おかしなグループが新潟にいるっていう評判になっていて。
※RYUTistがこれまでにカヴァーしてきた楽曲一覧はこちら
「ああ、カヴァーのことは言われてましたね。自分たちは何がなんだかっていう感じだったんですけど」
――わかるわけがないですよね。ふつうだったらメンバーとしては〈AKBを歌いたいのに〉とか〈ももクロを歌いたいのに〉ってなるところを、そうさせなかったのがホントに正解だったと思ってます。
「そうですね。しかも、毎週新曲もやってたので」
――ヲタにもわからない曲を歌わされ、持ち歌もどんどん増えて、さらにボクとかと定期的に共演することになった結果、ボクのリクエストでさらにわからない曲を歌わされることになって。
「でも、いろんな曲を歌わせてもらえてよかったなって思います」
――ホームページに出てるメンバーの好きなカヴァー曲に、ボクが選んだ曲が比較的入っていて安心しました。
「よかった、森下恵理さんの“Hey! Baby”とかすごい好きです。いっぱいカヴァーしましたね」
――これはおかしなグループかもっていうのはどれくらいで気づいたんですか?
「やっぱりカヴァーのことを最初は言われてて。あんまり(アイドルは)カヴァーしない曲をカヴァーしてるって言われて、それでわかった感じですね。何が何だかわからなくて活動してたので」
――何が何だかわからないままスタン・ハンセンの入場テーマ“サンライズ”のカヴァーとかさせられて(笑)。
「フフフフ、とにかく来た曲を覚えてライヴをがんばるのに必死だったので、あんまり考えずにやってました。言われて初めて変わってるんだって気づいて。でも、楽しかったですね」

楽曲派アイドルの悩み
――手応えを感じはじめた瞬間はあったんですか?
「TIFさん(〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉)に初めて出られるってなったときはビックリしましたね。出てもいいグループなんだと思って。そこでちょっとだけ自信が持てた気がします。ももクロさんが出た映像を観てたので、その夢のようなところに行けるんだと思うとすごいうれしかったし、これからもアイドルでがんばろうって思えました」
――実際どんどん音楽的な評判が上がっていくのはやってる側としても当然わかりますよね?
「はい、わかりました。楽曲派って言っていただいてホントに毎回いい曲をいただいて幸せだなと思いながら、私たち自身ひとりひとりの魅力をもうちょっと出していきたいなってメンバーで話したことはあります。楽曲のことをたくさん言われるので」
――あまりにもそっちばかり(笑)。
「あまりにも(笑)。ホントにそればっかり言われるので」
――それって曲がいいアイドル・グループの共通の悩みなんですよ。〈みなさん私には興味ないんですよね〉っていう。
「あ、共通なんですか? 私たちだけだと思ってました」
――意外とみなさん悩んでますね。3776とかMaison book girlとかのメンバーにも同じようなことを言われたことがあります。
「あー、ちょっとホッとしました。私たちが控えめなのもそうですけど、楽曲がすごいのと私たちが控えめっていうので楽曲ばっかりになっちゃって、それ(楽曲の良さ)を知っていただけてるだけ幸せなんですけど」
――パフォーマンスのレベルの高さも語られているとは思うんですよ。ダンスのスキルもあって歌もちゃんと歌える、練習量に裏付けられたものがある人たちだなって。異常な練習量ですもんね。前に1日の過ごし方を訊いたときに、ファンの人も衝撃を受けるレベルで練習をしてることが判明して。
「そうですね、休んでると怖くなっちゃうんです。最近やっと休むのも大事だなって思うようになったんですけど。休んでる暇があったらMC考えなきゃとか、もっと練習しようって思っちゃってぜんぜんうまく休めなかったんです。だけど、しばらく休むと前よりうまくできたっていうことがあったりして、最近は休めるようになりました」
――MCの練習するくらいだったら、MCのネタになるようなことを何かしたほうがいいと思いますよ。
「行動したほうがいいですよね、絶対。それなのに家で黙々とMCを考えて(笑)。ネタ探しの旅に行ったほうがいいよなって思いますね」
――ボクは連載で2~3行の近況を書くとき、近況をおもしろくするためだけの活動をしてたんですよ。そのためだけに事件の現場に行くとか有名人の葬式に行くとか。そしたら、そこから仕事につながったりもしたんですよ。
「自分から動かないとダメですね。たしかにそう思います。動こうと思います」
Negiccoさんみたいになれたらいいな
――ちなみに、ともちぃも〈自分が空っぽ〉みたいな話をしていて。
「えーっ、そんなことないと思う」
――空っぽだって悩んでたけど、ようやくその空っぽな部分に中身がちょっとずつ入りはじめたってことで。
「ああ、本とか」
――このレベルで活動してたらRYUTist以外のことはなかなかできないと思うんですよ。
「そうですよね。私も地味なことしかしてないので。散歩とか(笑)。最近は念願の猫ちゃんを飼って、猫ちゃんと遊んだり。あと生け花やってるんですけど、それで心安らいでますね、あんまり若者らしいことはしてないんですけど」
――ボクも猫は大好きで、常に猫の餌は持ち歩いてます(ポケットから〈ちゅ~る〉を出して)。
「あーっ、〈ちゅ~る〉! 〈ちゅ~る〉ってみんな好きですもんね」
――あげてます?
「まだあげたことないんです」
――じゃあ、差し上げます。
「いいんですか? ありがとうございます! いまも家で何してるかずっと考えちゃうんですよね。猫ちゃんがきっかけで、こないだ初めてメンバーが家に来て。いままで8年間、そんなことなかったのにビックリですね、なんでいままでなかったんだろうって(笑)」
――適度な距離感がずっとあって。
「はい。みんなで遊んで青春な感じがしました。4人だけでどこか行ったりとかホントにないので。マネージャーさんについて来てもらうことがほとんどなので、新鮮でおもしろかったですね。4人だけで仕事以外でいるっていうのが楽しかった」
――横山さん効果が意外と大きいみたいですね。
「そうです、ホントにみくちゃんがうるさいので。さっきも1人ですっごい笑ってたんで、うるさいって言ってたんですけど。それくらいにぎやかな空気になれたのは、みくちゃんのおかげだなって思います」
――横山さんの影響も大きいし、ハコイリ♡ムスメさんとのコラボ(柳♡箱)の影響も意外とあるって他の人は言ってました。
「ああ、ハコムスさん、かわいくて大好きです。アイドルってこうなんだなって思って。RYUTistはアイドルのお友達がいないので、ハコムスさんと仲良くさせてもらってうれしいです。ハコムスさんって表情とかもうすごいし個性も強いので、一緒にライヴしてると勉強になるし、柳♡箱は結成できてよかったなと思うところばっかりです」
――これだけキャリアがあってこれだけスキルを高めてきた人たちでも、ハコムスさんが勉強になるわけですよね。
「ホントに毎回勉強になります。ハコムスさんを見てると、これは絶対ファンになるなって思います。すごいアピールしてくれるし、かわいいし。RYUTistはパフォーマンスに徹しすぎてるので、そういうのも忘れないようにしなきゃなって思いました。ハコムスさんは10歳下の子もいるので、そんな子とステージに立ってるのは不思議だしありがたいなって思います。若いパワーを吸収できて」
――年齢が多少気になりはじめたりはしてます?
「一周回ってあんまり気にならなくなりました。19~20歳ぐらいで気になりはじめて、若い子がいっぱいいるので何歳までできるのかなって一時期は思いましたけど、すぐ終わりました。まあいいやと思って(笑)」
――けっこう悩まない人ですよね。
「考えてもいいことないなと思ったので、あんまり考えないです。楽しいことを考えるようにしてます」
――この平和な空気の理由はそれもあると思いますよ。リーダーが悩まないっていう。
「あんまり悩まないです(笑)。ヘラヘラしてるのでちょうどよかったです」
――そこは絶対大きいです。
「よかった、楽しいことだけを考えてるのでホントに楽しいです」
――個人なりグループなりでやりたいことはありますか?
「1人で何かやりたいっていうのはないですね。グループとしては、いままでたくさんの人に知ってもらいたいっていうようなことしか言ってなかったんですけど、去年から新潟LOTSさんでやらせてもらって、新宿ReNYさんでやらせてもらって、どんどん大きいステージにステップアップしてるので、やっぱりステージの規模を大きくしていきたいなっていうのはありますね。あの景色を見たら、もっと大きいところの景色を見たいっていうのが芽生えました。で、そういうことを思うようになったのが大きな成長かなって思います」
――もともとそんなこと思ってなかったのか、言わないようにしていただけなのか。
「個々ではちょっと思ってたところもあったと思うんですけど、メンバー内でもあんまりそういうのがなかったので。去年くらいから、下からバーンとステージに飛び出るのをやってみたいとか、イヤモニさん(イヤーモニター)つけてみたいとかみんな言うようになって。夢の話もするようになりましたね。前は言わない空気があったのかもしれないです」
――〈地道に新潟でやり続ければ〉だったのが、多少の野心が出てきて。
「はい、出てきたと思います」
――出てくるのが遅いとは思いますけどね(笑)。
「遅いですよね(笑)。7年ですから。やっとです。ファンの人にも〈やっとメンバーから大きいステージに立ちたいって言葉が聞けてうれしい〉って言われたので、待っててくださったんだなってわかって。これからは言っていきたいと思います」
――いままで活動を続けられた理由はなんだと思います?
「楽しいっていうのと、周りの環境がよかったと思います。スタッフさんもそうですが、RYUTistを支えてくださるみなさんが優しくてメンバーのことを考えてくださるので。メンバーもリーダーの私を支えてくれる頼もしい子たちばっかりですし、そういうのがあって続けてこられたと思います」
――そして、この先も続けていけそうですかね。
「そうですね。できるところまでやりたいなと思います。大先輩のNegiccoさんも私たちのずっと先で活動されてて、いいお手本というか。Negiccoさんがいてくださるおかげで私たちもそれを追ってできるので、大切な存在だなと思います。Negiccoさんはずっとかわいくて変わらないですもんね、そんなふうになれたらいいなって思います」
――せっかくいい音楽をやってるんだから続けてください。
「はい、がんばりたいと思います」
