村治佳織
“戦メリ”と“バガモヨ”の名演を再び!

 昨春の〈BBCF in YOKOHAMA〉でも唯一、歌のない弦奏者として2部の口火を切って聴衆を大いに魅了した村治佳織。まずは出演経験者の一人として「何十人もの演奏家による、フルオーケストラの音の厚み/豊かな響きは本当に素晴らしい。このフェスティバルの醍醐味はなんといっても、ボーカリストを音で支えるオーケストラの素晴らしさを存分に味わっていただけることだと思います」と讃える。一方、奏者である本人はオケ共演数では飛びぬけた存在。「その意味では身内感(笑)のようなものも感じます。今回共演する東京フィルさんとも今年のお正月2日間、ニューイヤ一コンサートで御一緒し、素晴らしい一年のスタートを過ごせた良い思い出があり、私のほうはすっかり打ち解けた気分でいますので、再会が楽しみでなりません」。初参加の野宮真貴についても「TVの音楽番組で共演こそなかったもののお話しをさせていただき、その後私のラジオ番組にゲストでお招きしました。なんてエレガントでチャーミングな方なのだろうと思いました」と、エールを送る。

 今年も大切な2曲のレパートリーを予定している彼女、《戦場のメリークリスマス》を弾く際はいつも「最高のアレンジをしていただいた故・佐藤弘和さんのことを思います」と回顧し、「坂本龍一さんも最初からこの編曲を気に入ってくださったと伺っています」。原曲の雰囲気を残しつつ、クラシックギターの奥深さも際立つ絶妙な編曲で爪弾く。「それにオーケストラの響きも加わるので重厚感が半端ないです! 坂本作品は、ハ一モニ一の美しさに心打たれますし、現実から浮き上がったところにひとつの美しい世界が広がる感じが独特で大好きです」。

 もう1曲は“バガモヨ”、TV番組の企画でタンザニアを訪れ、自身未踏の初作曲に挑んだ思い出深いオリジナル作品。「挑戦といっても“挑む”感じは全くなくて、日記を書くように自然に肩肘はらずに浮かんでくるメロディを五線譜に書き取っていきました」そう語る彼女の人柄が心地よく伝わる名曲だ。「現地滞在中に一応の形になって、帰国してからより細かい部分を仕上げました。美しい大きな夕日、出会った人々の素敵な笑顔、子供たちの屈託のない表情からインスピレーションを受けて湧いたメロディ、そして同世代の音楽家の女性が鼻唄のようにして歌っていたメロディを一曲にまとめました。まさかオーケストラをバックに弾く日がくるとは、あのタンザニアの旅では微塵も想像していませんでした」。件のサントリーホールは「足を踏み入れただけで気分が上がるパワースポットのような場所」なんだとか。師走には同ホールでリサイタルも予定されている村治佳織。「その際はステージに独り、〈BBCF〉では沢山の演奏家の皆様と御一緒に……全くステージの環境が違うシチュエーションを短期間に体験ができて、本当に恵まれていると思いますね」。

 


LIVE INFORMATION
billboard classics festival 2019
2019年9月7日(土)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
開演:16:00
出演:辛島美登里/福原美穂/八神純子/NOKKO/村治佳織/幸田浩子
スペシャルゲスト:尾崎裕哉

2019年9月27日(金)
開演:19:00
会場:サントリーホール 大ホール
出演:辛島美登里/八神純子/NOKKO/野宮真貴/村治佳織
スペシャルゲスト:尾崎裕哉

各プレイガイドにてチケット発売中