現代のロック/ポップス&オーケストラ競演の百花繚乱な豪華舞台が大きな話題を呼び、今秋で4年目を迎える〈bilboard classics fastival〉(以下、BBCF)。注目の〈2019 in Tokyo〉(サントリーホール・大ホール)は、八神純子・NOKKO・辛島美登里・村治佳織・尾崎裕哉の恒例陣に加え、〈渋谷系の女神〉野宮真貴の初参加が実現する! 当日披露される候補曲の話題などを中心に、村治佳織・野宮真貴の二人にそれぞれの抱負を聞いた。
野宮真貴
あの名曲と傑作曲がフルオケ版で響き渡る!
4回目を数えるBBCFへの興味を一段と増殖させ、話題と期待そして新たな客層の拡大さえもが予感できる事前サプライズが野宮真貴の初参加だろう。出演依頼時の感慨を問うと、「東京フィルハーモニーさんと〈フルオーケストラで渋谷系を歌える〉という素晴らしい機会をいただき、とても嬉しく思いました。デビューして38年にして初めての挑戦に、本当にワクワクしています。オーケストラをバックに自分の歌声がどのように響くのか、とても楽しみです」と、御本人。「素晴らしいアーティストの皆さんとの共演もとても楽しみにしています」と、初参加者ならではの想いも唇にのせた。サントリーホールのステージに立つ事自体は初めての彼女だが、じつは「ホールの前にあった〈オーバカナル〉は大好きなカフェで、昔からよく使っていて〈地元のお店〉みたいな感覚です」と明かす。想像してみてほしい、あの大ホールでフルオケ版“東京は夜の七時”が聴けるなんて……これに行かないという選択肢はないだろう。
「“東京は夜の七時”という楽曲が作られて20年経ちますが、いつ歌っても古くならない、東京を代表するスタンダードナンバーだと思っています。だからこそ、リオ・パラリンピックの閉会式でも(註:椎名林檎の選曲によって)歌われたのだと思います。そして今回のオーケストラ版でゴージャスに進化したこの曲を、世界中の方に聞いてもらいたい気持ちですね」。伝説化は必至だ。
最近のBoseとの回顧的対談で「〈東京が、世界で最もかっこよくなった時代〉の象徴が、渋谷系だった」と語っていた彼女。〈令和の東京〉はどう映っているのか、改めて訊いた。「東京は〈世界中のものが世界一たくさん買える都市〉、それは渋谷系の時代(=平成)も、令和の時代も変わりませんね。最近は世界中の人が訪れる都市になってきました。いいことですね」。
現時点でもう一つの確定曲が“大都会交響楽”、「あの曲をフルオーケストラで歌うのが長年の夢でした。とうとう夢が叶う日が来ました! テンポも早く、難しい曲ですが、大都会の喧騒の中ですれ違う恋人たちの心情をどんなアレンジで表現するのか、そのあたりも楽しみにしています」。折しも先日、ピチカート・ファイヴの7inch 16枚組BOXとベスト盤CDが11月にリリースされるという朗報が発表された。当日の持ち時間は3曲枠だが、残り1曲の候補作品は彼女自身もまだ悩んでいる。「皆さんに馴染みの曲である“スウィート・ソウル・レヴュー”を楽しくお届けするか、もしくはフルオーケストラでしっとりと歌ってみたい“悲しい歌”を候補に挙げさせていただきました。いずれにせよ、フルオーケストラの演奏で歌うことによって、渋谷系の楽曲の良さがさらに際立って、オーディエンスに伝わるのを楽しみにしています」。どちらが選ばれるにせよ、観ない/聴かないという選択肢はないだろう。開演は夜の七時!