BBHFのセカンドEP『Family』のリリースを記念して、タワーレコードではフリーマガジン〈TOWER PLUS+〉の臨時増刊号〈別冊TOWER PLUS+〉を発行! ここではその中面に掲載されたインタヴューを掲載いたします。別冊TOWER PLUS+は、タワーレコード全店にて11月13日(水)開店時より配布中です!
※タワーレコードオンラインは除きます。※別冊TOWER PLUS+は無くなり次第終了となります。※天候や交通事情により配布が遅れる場合がございます。

BBHF 『Family』 Beacon (2019)

 

――今年7月にEP『Mirror Mirror』を突如配信して、BBHFと名前を変えてバンドの再スタートを切りました。その後のツアーも含めて、エレクトロニックなアプローチに舵を切った『Mirror Mirror』への手応えは実感できましたか?

尾崎雄貴「『Mirror Mirror』は、なんの告知もなくゲリラでのリリースだったんですけど、それでも僕らの予想を遥かに超えるいい反応があったという驚きがまずあって。作品としては昨年のアルバム『Moon Boots』の方向性から舵を大きく切った作品が受け入れられたという自信と勇気をもらったなという気がしますね」

――そしてその『Mirror Mirror』と対になるEP『Family』がリリースされました。こちらはバンドサウンド主体の作品となりましたが、制作は『Mirror Mirror』と並行して作られていたんですよね?

雄貴「楽曲の大まかなデモというのはほぼ同タイミングだったんですけど、実は楽曲としてまとまっていったのは、『Family』のほうが先だったんですよ。僕が持ってきたデモを1週間ぐらい転がして出来たのが『Family』で、その時点でリリースされたものにかなり近い形になっています。それが終わったあと自宅に帰って、ひとりでやり進めたのが『Mirror Mirror』なんです」

――そうした制作スタイルは『Family』に、そしてバンドにどんな作用をもたらしましたか?

佐孝仁司「これまでは〈こういうアルバムを作りたくて、こういうアーティストを参考にしたくて〉という話し合いはあったんですけど、今回はそれが一切なかったんです。個々に好きな音楽があって好きに聴いて、それがいざ集まったときにどう出るかというのをみんなで確認し合うという感じでした」

DAIKI「今回はあえて、あまり決めずに進めたのがよかったですね。これまではPOP ETCのクリス(・チュウ)にプロデュースしてもらい、彼を介して音を決めていったのはあったんですけど、今回はほぼメンバーだけで会話して進めていったことが大きいのかなと」

雄貴「リードトラックの“なにもしらない”でも歌っているんですけど、〈考えずに自分から動く〉っていうことが今回の僕らのスタンスとしてあって。僕らもこれまでのキャリアで音楽的な試行錯誤もしてきたし、それらが積み上がっていた状態だったんですけど、今回のふたつの作品はゼロからものを作って、すごく曲の鮮度があるものになったなと思っています」

尾崎和樹「あとリズムとしても、『Family』の楽曲を作った段階では生のリズムを重点的に作って、そのあと『Mirror Mirror』の制作ではそれを一回手放してエレクトロなリズムに移行したんですね。そこから『Family』の制作に戻ったときにものすごく新鮮な気持ちでできたというか、一度肉感的なものを切り離してまた戻るというやり方も楽しかったです」

――そうしたあらたな手法で『Mirror Mirror』、そして『Family』を完成させたことで、バンドの今後の方向性というものはより見えてきましたか?

雄貴「むしろ、今まではそれを〈見よう〉としていたんですけど、今は先を見ていなくて。今はまだ曲も何も書いてないし、作品作りをしようとも思っていないですね。スランプとかではまったくなくて、この2作を作ったことで、もっと感覚的に音楽と向き合っていけるようになったんじゃないかなと思います。ひとつだけ、今後決めていることがあるとすると、対極あるいは兄弟のような〈2〉という数字を使って、そういう比較できるものをライヴやリリースで提示していきたい、それを僕らのアイデンティティにしたいと思っています。そうすることで面白いものができると思うし、何より僕らが楽しみたいので」