Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、5人が1曲を厳選し計5曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【天野龍太郎】
BBHF “黒い翼の間を”
BBHF、絶好調。ECCコンピュータ専門学校のTV CMソングであるこの新曲“黒い翼の間を”。こんなにストレートにポップなロックを歌える王道のロック・バンドって、いま彼らしかいないのでは。タイアップのテーマを見事に汲みとって、普遍的で力強いテーマへと昇華させた歌詞も、本当に素晴らしいです。配信リンクはこちら。
【鈴木英之介】
Erika Dohi “Particle Of”
米NYを拠点に活動するピアニスト/作曲家、Erika Dohi(土肥絵里香)によるデビュー・アルバム『I, Castorpollux』からの1曲。ピアノが極めてパーカッシヴに用いられており(プリペアード・ピアノだろうか?)、その乾いた音を中心に織り成される、とにかく幾何学的で緻密なリズムの波に圧倒される。
ちなみにこの曲が入ったアルバム『I, Castorpollux』はボン・イヴェールのジャスティン・ヴァーノンとナショナルのデスナー兄弟によるレーベル・37d03dからリリースされたもので、ゲストには現代ジャズの最重要トランぺッターの一人であるアンブローズ・アキンムシーレなどが参加している。いくつもの才能たちがジャンルを超えて集うことから生じる胎動。それが生々しく刻まれた本作もまた、必聴盤だ。
【小峯崇嗣】
aiver “012”
東京を拠点にバンドの域を超えて活動する、aiverがヴァーチャルな建築空間/映像/音楽を相互に関係させたプロジェクト〈6 rooms〉より、待望のシングル“012”をリリースしました。〈TOWER DOORSが選ぶ2021年期待の新人アーティスト6組〉にも選ばれている注目アーティストですが、今作は本当に腰を抜かしました。エクスペリメンタルな電子サウンドが複雑に絡み合いながらも、ポップなメロディーに落とし込む驚異的な1曲に仕上げています。
【田中亮太】
踊ってばかりの国 “Hey human”
彼らが6月2日(水)にリリースする新作『moana』より。バンドがトラックの上で演奏するさまをワンカットの長回しでとらえたミュージック・ビデオのトリップ感がすごい。甘やか、かつ怪しげなサイケデリアを乗りこなしながら、下津はこっちをまっすぐに見据えて歌う。〈死に絶えたはずだった音楽がいま目の前に〉。このロックンロール・バンドワゴンは、どれほど先へと進んでしまうのだろう。
【酒井優考】
澤田空海理 “可笑しい”
赤い公園“夜の公園”に影響を受けているというご本人のツイートを見て気になって。自分の好きな相手から恋の相談を受けるんだけど、その人の好きな人は自分ではなく別の人で……というシチュエーションは似ているものの、赤い公園がもう少しフランクに、まるで写真とか映像みたいに情景を含めて描写しているのに対し、こちらはまるで手紙のような歌詞でもっと心情に突っ込んでいる(歌詞に句読点があるのもなおさらそう思わせる)。一見、静かで優しいんだけど、奥にはつらさとか悔しさとかの強い気持ちがあって、それが徐々に高ぶっていくところにグッときます。