井上銘がデビューアルバムをリリースして、10年近くがたつ。渡辺香津美のような天才ギター少年の再来として注目を集めて以来、途中、ジャズロック的?なユニット〈ステレオチャンプ〉を発生させてジャズとそれ以外の活動に彼の音楽は多極化するのかと巷を騒がせて20年、なんとジャズアルバムをリリースした。なんの迷いもない、まるで書き譜を演奏しているかのような流麗なソロがあちこちに散りばめられて、果たしてこのギタリストはいったいどうなるのだろうと挙句、アルバムの隅々までを聴いてしまった。さまざまなポップな現場でも活躍中のこのジャズギタリストが輝かせるのはジャズ? それとも。