いま改めて日付を確認すると……2017年5月18日にYouTubeにアップされたのが、中毒性の高い鋭角的なトラップのビートと自信満々に耳にこびりつくパンチラインを備えた“Cho Wavy De Gomenne”。渋谷で仲間たちと撮影したそのMVがバズったことで、俄に注目の存在となったのがJP THE WAVYだ。SALUを迎えたリミックスの勢いも手伝って同曲の熱はさらに伝染、〈#超WAVYでごめんね〉のハッシュタグでダンス動画を公開するなどSNS上は大いに盛り上がり、ここ数年の音楽シーンの在り方も象徴するようなバイラル・ヒットとなったわけで、現代的なオーヴァーナイト・サクセスとはまさにこういうことを言うのだろう。

 もともとダンサーを出自にマイクも握るようになり、所属するクルーのD.T.R.Iでも活動してきたJP THE WAVY。そんな特大の一発が生まれていきなり旬の名前になったことでプレッシャーも半端なかったはずだが、そこを彼は精力的な活動で突破してきた。2017年のうちにDJ CHARI & DJ TATSUKIの話題曲“ビッチと会う”に登場したほか、DJ SAATの渋谷HARLEM 20周年記念曲“TRIBE”にSKY-HIらと並んで参加し、HIYADAM & MIYACHIとの“BUKKAKE”も発表。ブレイクの波を逃さず矢継ぎ早にトピックを提供してきた。よく考えると彼が次なる自身名義の楽曲“Neo Gal Wop”を投下したのは2018年12月のことだが、そこに至るまでの間にはSALUの“GOOD VIBES ONLY”を筆頭に、AKLO×KLOOZ×KMとの“SEE ME NOW”やDJ RYOWの“Lemonade”などのビッグな客演を次々に実現し、MINMI“イマガイイ”や加藤ミリヤ“顔も見たくない”といったオーヴァーグラウンドな範疇の好演も見せ、波に乗り続けるどころか自身をシーンに欠かせない名前として定着させることに成功した。

 2019年もその勢いは止まらず、RIRIとの“Dilemma”でネリー役を担ったほか、m-floとの南国ダンスホール“Toxic Sweet”、AKLOの“Too Fast Remix”、dubby bunnyの“Y.G.O.D”、OZworldの“畳 -Tatami-Remix”など多様なスタイルの楽曲に客演。それに並行して海外勢とのコラボが目立ってきたのもJPならではで、自身名義の“Just A Lil Bit”に韓国のSik-Kを、“CHOTANOSHI”に南アフリカのナスティCをそれぞれ招いたほか、豪州のTaka Perryに招かれて“Kuruna”でコラボ。さらには(キース・エイプのアレで知られる)ジュニア・シェフ“DOMO”に客演したり、つい先日も台湾のニックザリアル(俳優のニック・チョウ)の“i Go(Asia Remix)”にSik-Kと並んで参加するなど、国境を跨いだ活躍ぶりもよく似合っている。