牧村憲一と桝山寛がプロデュース、大和田俊之がコーディネイトした連続講義が書籍化。講師を務めたのはアカデミシャン、ジャーナリスト/評論家、ミュージシャンら10人。単なる講義録と侮るなかれ。それぞれの視点は異なるが、濃度は極めて高い。アル・ジャロウなどを例に熟聴法を伝える冨田ラボ、ラージ・アンサンブルの歴史と現場を語る挾間美帆、ジャズの最前線から歴史を編み直す柳楽光隆、アトランタを中心にトラップ以降のラップをレポートする渡辺志保……。音楽について語ることはこんなにも奥深いのか。愉しい目まぐるしさを覚える一冊で、これを始点に音楽をめぐる知について考えたい。