連載

【tofubeatsの棚の端まで】第86回 たまの休み2――鴨田潤、五つの赤い風船、金延幸子の慌ただしい日々に聴くフォーク3作

騒ぐ人々の中でひとりで揺れているような……そんな2020年の作法でお送りする連載!

 前回〈たまの休み〉と元気に振る舞ってみましたが、実際状況は日に日に大変に。緊急事態宣言も出てしまって正直新譜とかガンガン買う気分でもなくなってきました。逆に忙しくなってしまっている方々もいると思いますし、サポートしたいところも多ければ自分たちも大変。いろいろなことが去来し外出自粛はしているのに気持ちは慌ただしい日々なので今日はすこしゆっくりした3枚を紹介したいと思います。今回は新譜フォーク・アルバムと並んで、ここにきて聴いている旧譜なんかもご紹介。

鴨田潤 言葉の星座 リトル・モア(2020)

イルリメ・Jun Kamoda名義でも活動する、大阪が日本に誇る存在ですが、そんな氏のニュー・アルバム『三』は過去の作詞をまとめた詩集とセットになっております。これまでのさまざまな名義(私もやらせていただいていたlyrical scholへの提供曲などまで)の詞が横断的に収録されており、時系列に従って変化していく様は圧巻で、最後のあとがきにもメチャクチャグッときます。一部入手が難しい作品もあるかもしれませんが、ぜひ過去の氏の音源作品と共に楽しんでほしいです。

 

五つの赤い風船 モニュメント URC/ポニーキャニオン(1972)

昔マネージャー氏から“殺してしまおう”を教わって衝撃を受けました。過激な歌詞なのですがなんというかこの雰囲気というか寂寥感みたいなものは替えが効かないもので、凄い雰囲気が録音に閉じ込められていると思います。当時のフォークの雰囲気も窺える2枚組の豊潤な楽曲群。こんな閉塞感を打ち破ろうとする姿に少し共感を覚えたりもするのでは?

 

金延幸子 み空 URC/ポニーキャニオン(1972)

同じくURCからリリースされた女性シンガー・ソングライターの一枚。細野晴臣氏のプロデュースで、バックの演奏はキャラメル・ママ。五つの赤い風船といい、URCに対してもう少し泥臭いイメージを持っていた自分としては、この爽やかな仕上がりに驚いた記憶があります。“時にまかせて”おくだけでは問題は解決しないかもしれませんが、こうして過ごしている時間をやり過ごす助けにはなるかもしれません。

 


tofubeats(トーフビーツ)
90年生まれ、神戸出身のトラックメイカー。自身の作品をリリースするほか、Sexy Zone、徳利、CHEMISTRY、土岐麻子、向井太一、中島愛、平井堅、SUKISHA×kiki vivi lily、m-floらの楽曲を手掛けています。自身の最新ミニ・アルバム『TBEP』も話題を集めるなか、大比良瑞希のニュー・アルバム『IN ANY WAY』(サンバフリー)にて“無重力”をプロデュースしていますよ! その他の最新情報は〈tofubeats.com〉にてチェックを!

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