5. Aurora Shields “Damaged Goods”
田中「今週最後の曲はオーロラ・シールズの“Damaged Goods”。シンセ・ベースが生み出すグルーヴと穏やかな歌声がとっても心地よくて、まさに聴き手を包み込むようなR&Bですね。これは癒される~。あまり情報のないアーティストですが、どんな人なんですか?」
天野「ドンカマのチープなビートもいいですよね。彼女はカナダのシンガーのようです。2018年にデビューして、これまでに4つのシングルを発表。すべてマキシマム・エクスポージャー(Maximum Exposure)からのリリースです」
田中「あー! マキシマム・エクスポージャーといえば、カナダの誇る異才、トニー・プライスが主宰しているレーベルですよね。プライスはU.S.ガールズの近作にも参加していました」
天野「この“Damaged Goods”も含めて、彼女のすべての曲をプライスと共にプロデュースしているのは、同じトロント人脈のヤング・ガヴ(Young Guv)。彼もまたハードコア・パンクのファックト・アップからシンセ・ポップのヨット・クラブまで、さまざまなバンドに名を連ねている変わった音楽家です」
田中「なるほど。とすれば、オーロラ・シールズはトロント・インディーの才能が結集して送り出す期待のアーティストと言うわけだ。彼女のみならず、レーベルやプロデューサーを含めたシーンとして、ちょっと注目しておきたい感じですね」
天野「そうですね。彼女のInstagramの投稿によれば、“Damaged Goods”は性被害について歌った曲なんだそうです。〈この曲が少しでも孤独を消してくれますように〉と添えられています。他人と対面で会うことが難しい状況のいま、多くのリスナーの心に響く楽曲なのではないでしょうか。亮太さんも癒されてよかったですね!」