川本真琴がSINA SUIENの有本ゆみこの新作展〈よるのしじま〉のメイン・ヴィジュアル・モデルを担当する。
デザイナーをはじめとして、刺繍作家、漫画家、作詞家など、幅広く活躍する有本ゆみこ。彼女が、2020年7月2日(木)~7月31日(金)に東京・原宿のLamp harajukuで刺繍作品展〈よるのしじま〉を開催する。そのメイン・ヴィジュアル・モデルを川本真琴が担当し、撮影を写真家の佐内正史が、ヘア・メイクをヘア・メイクアップ・アーティストの奥平正芳が担当した。
〈よるのしじま〉は有本にとって2016年の〈睡園〉から4年ぶりの新作展で、大きな虎と勇敢な9羽の鳥たちの刺繍作品が展示される。
展示の開催までに有本は、オーダーメイド/一点物の作り手として唯一無二の存在を目指し、3年間銀座にある老舗オーダー・スーツ工房でテーラーメイドの技術(しつけの縫い方、指ぬきの使い方など)を学んだ。今回はその技術を駆使して一着のオーダー・スーツを作り、展示販売を行う。
そのほか、靴職人〈La Rificolona(ラ リフィコローナ)〉との3度目になる共作のローファー、〈COPACK〉のマネキンを使用したマネキン作品も展示する。
さらに有本は、今年1月に発表した漫画とネームを併せた本「よるのしじま」と電子書籍版「しじまと光太郎」をリリースする。
「よるのしじま」は、〈漫画本〉という形をしたSINA SUIENのプレタポルテ・コレクションとして有本とグラフィック・デザイナーの山下ともこが自費出版する300ページの本。〈普通に消費される漫画ではなく、未来に残って行くような「作品としての形」を模索した〉とのことだ。ネーム、設定資料、ドローイングが納められ、感情と連動した筆圧や鉛筆のタッチなどにこだわった没入感のある一冊となっており、しおりの赤い紐と手描きのシリアル・ナンバー入りで、200冊限定で販売される。価格は2,000円(税別)。
一方、電子書籍版「しじまと光太郎」は、「よるのしじま」を楽しく気軽に読んでもらえるように株式会社コルクと構成し直したもので、Amazonなどで販売される。価格は300円(税別)。
そもそも有本と川本のコラボレーションのきっかけは、2019年にリリースされた川本真琴のアルバム『新しい友達』。有本は収録曲“トムソンガゼルになりたかった”の作詞をしており、今回はその楽曲の世界観を拡張して漫画や刺繍作品を制作した。
また7月1日(水)18:00から、SINA SUIENの公式YouTubeチャンネルにて川本と有本による初のトーク・ライブ〈有本ゆみこと川本真琴のよるのしじまナイト〉が無料で生配信される。撮影の裏話や衣装、プライヴェート・ファッションにまつわるトーク、2人による音楽のセッション(!)など、盛りだくさんの貴重な内容のイベントとなる。川本はこのライブのために制作されたSINA SUIENのスペシャル・ワンピースを身に纏って歌うそうなので、川本のファンも必見だ。配信URLはこちら。
〈よるのしじま〉に向けた有本のコメントは以下のとおり。
SINA SUIENの心はお洋服のブランドとかアートとかみたいに特定の性格付けも機能も持ちません。
明確なカテゴリーに属さず変幻自在で、一時何かの形で表れたかと思うとすぐに別の形をしたものに変身してしまう。
しかし、日本人は古代から自分たちの心に浮かんだ考えを、無意識のままに石や木や風景や踊りや詩、歌の形を通して行間や余白から素直に感覚を伝えてきました。
そんな昔の人に習って、昏迷した世の中で自分の原初に立ち返りひたすら刺繍に情熱を注ぐことが、今私にできるただ一つの手段でした。
だから、ただひたすら虎を刺繍しました。鋭い目をした優しい声の虎と、よるのしじま。
是非この機会に、有本ゆみこの展示に触れていてだけましたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
よるのしじま
しじまは、燃えるような夕焼けに駆り立てられるように、森へと急いだ。
森は光を吸収し、真っ黒だった。
〈闇にしばしうちのめされる〉
すると、木々の奥から、鋭い目をした虎が表れた。
しじまは、食べられて死ぬ自分を想像した。
〈不安、恐怖、後悔、あの世〉
虎は口を開き “全部つながっているんだ” と言った。
鋭い目とは裏腹の、やさしい声だった。
虎がきびすを返して歩き去ったあと、あたりは夜の静寂に包み込まれた。
熱を帯びたある日の出来事である。
EVENT INFORMATION
よるのしじま
2020年7月2日(木)~7月31日(金)東京・原宿 Lamp harajuku
開催時間:11:00~19:30 ※最終日は17:00まで
https://www.hpfrance.com/stores/lampharajuku?sid=39
お問い合わせ(有本ゆみこ):info@sina1986.com/03-6795-7214/http://sina1986.com
有本ゆみこと川本真琴のしじまナイト
2020年7月1日(水)
開演:18:00~
配信URL(YouTube):https://youtu.be/aewD52VVHRE
※イベントをお店で観ることはできません
ライブ刺繍 月を刺す
2020年7月4日(土)13:00~ https://youtu.be/ijFAQ6Y0sR0
2020年7月5日(日)13:00~ https://youtu.be/cgSs-tuvC0Y
2020年7月11日(土)13:00~ https://youtu.be/3iiplD7D4Xw
2020年7月12日(日)13:00~ https://youtu.be/uEb4aH748uI
RELEASE INFORMATION
しじまと光太郎
販売URL(Amazon):https://www.amazon.co.jp/dp/B08BFMPXSK
協賛・協力:日本コパック株式会社
PROFILE: 有本ゆみこ
刺繍アーティスト/SINA SUIENデザイナー
1986年奈良生まれ。
2008年京都造形芸術大学 空間演出デザイン学科 ファッションデザインコース卒業。
展覧会、コレクションの発表、衣装制作、マンガ執筆、作詞などで活動中。
PROFILE: SINA SUIEN
2009年よりsinaという名で活動スタート。
2014 s/s collectionにてMercedes-Benz Fashion Week TOKYOに初参加。
2015年よりブランド名をSINA SUIENに改名。
〈SINA SUIEN〉シナ・スイエン
明瞭な夢み
外部からの感覚の遮断
時にパラレルでサイケデリック
浅い眠りのようで、古い映画を上映している映画館の暗闇のような
特別で何者にも侵されない聖域
SINAを着た人が眠るように心地よく陶酔するさまを込めて名付けた、造語。
SINAは想像上の美しい生物で、神様の事。
SUIENは睡園と漢字では表記する。
どこの国でもない不思議な場所で美しい信念を持った人たちが着用する衣服。