穏やかで暖かみのあるハーモニカの音色で幕を開ける“Brothers in Arms”。この、ダイアー・ストレイツの名曲と、続くフリゼールのオリジナル“Small Town”など、スロウ~ミディアム・テンポで紡がれる心地よい演奏。アメリカの広大な原風景を想起させるような郷愁感にあふれるサウンドは、その優しいメロディも相まって、一貫した穏やかさで胸にじーんと響く。ハーモニカとピアノがメインだが、絶妙な〈間〉で空間を表現するフリゼールのギターがさすがの貫禄を見せつける。アメリカのルーツ・ミュージックを繊細で奥ゆかしいロマンティシズムで彩った傑作だ。