こんにちは、TOWER DOORSスタッフです。
TOWER DOORSが注目のアーティストを選出して猛プッシュする企画〈TOWER DOORS POWER PUSH!!!!〉。その第6弾として本日からプッシュするのが、福岡を拠点に活動する15人組の大所帯のコレクティヴ、BOATです。
今回はBOATの活動や所属メンバーを紹介し、彼らの魅力に迫っていきたいと思います。また中心人物であるMADE IN HEPBURNのYaungTa oにインタビューも行い、彼らの真髄にも迫りました。
BOATはバンドやラッパー、トラックメイカー、DJなど、総勢15人が集結したコレクティヴです。2018年頃から活動を始めた彼らの拠点は、福岡の中心部である天神北部の競艇場前に位置するスタジオ。質屋の金庫を改装した場所で、そこを拠点に楽曲制作や映像撮影などのさまざまなクリエイションを行っています。TOWER DOORSでも2019年のローンチ当初から彼らに注目し、積極的に紹介をしてきました。
そんなBOATが、7月8日にコレクティヴとして初のコンピレーション・アルバム『電影港湾地区 -BOAT MIX TAPE-』をリリースしました(CDはタワーレコード限定販売)。同作はリリースするまでの2年半の軌跡を収めた集大成的な作品。一言では言い表せないほどにさまざまなジャンルが交錯しており、BOATというコレクティヴの全体像を音楽的に表現しています。
また今回のリリースに合わせて、タワーレコードのアパレル・ブランドであるWEARTHEMUSICとのコラボレーション商品を発売。音楽以外でも活動的な姿勢を見せています。
それでは、まずBOATの所属メンバーやグループ、それぞれの音楽性や特徴などに迫っていきましょう。
MADE IN HEPBURN

MADE IN HEPBURNは、Takahiro Moriyama(ヴォーカル)、goe(ベース)、Jeff The Beats(ギター/キーボード)、YaungTa o(DJ)、SHODAI(ドラムス)による5人組バンドです。
彼らはBOATの中でも、もっとも多彩なサウンドを奏でているのではないかと感じます。海沿いの情景を想起させるようなメロウでトロピカルなサウンドから、R&Bやソウルなどを取り入れたジャジーな音楽性まで、ジャンルをクロスオーヴァーさせているのが特徴的。
また、Takahiro Moriyamaの優しく温かみを持った歌からグルーヴィーなフロウによるラップまでをもこなす才能が、MADE IN HEPBURNの音楽的な幅を広げていることは間違いないでしょう。
YOHLU
フューチャー・ソウル・ユニット、YOHLU(ヨール)は KENTO、ZMI、BOKEHの3人によって2018年に結成。
スタイリッシュでスムースなサウンドを奏でる彼らは、日本だけでなくアジアなどの海外リスナーも魅了する稀有な存在です。ミニマルで淡く彩られたR&Bとエレクトニック・サウンドとKENTOのファルセットを駆使した鮮やかな歌声は、一度聴けば虜になること間違いなしです。
KENTOとBOKEHはフォトグラファーとしても活躍しており、YOHLUのアーティスト写真やアートワーク、ミュージック・ビデオなどをすべて2人が手掛けているのも驚きです。
GOiTO

ラッパーとして活躍するGOiTO(ゴウ イトウ)。〈剛〉という名義でも知られており、九州各地にてメジャーからアンダーグラウンドまで、幅広いシーンで活躍しています。2018年には世界規模のDJコンテスト〈REDBULL 3 STYLE JAPAN FINAL〉でMCを務め、大きな反響を呼びました。
そのフロウはスモーキーでクール、かつグルーヴィーで滑らか。一方で、愛のこもった温かい言葉で彼が作り出すリリックの世界観は、聴き手に優しく寄り添うようなものです。
JEFF THE BEATS

トラックメイカーのJEFF THE BEATSはGOiTOのトラックを手掛け、MADE IN HEPBURNでギタリストとキーボーディストを務めていしています。今年4月には、アジアの都市をテーマにした初のビート・テープ『PISAN ZAPRA』をリリース。
彼が作り上げるローファイ・ヒップホップ的なザラついた質感のビートは、サンプリングした音声や麗しいピアノなどがメロウかつジャジーに鳴り響くもので、心地良いサウンドが特徴的です。
Osamu Fukuzawa

キーボーディスト/コンポーザーで、アレンジからプロデュース・ワークまでをこなすバイプレイヤー、Osamu Fukuzawa。10代から影響を受けているジャズ、R&B、ヒップホップなどをベースに、主にインストゥルメンタルの楽曲を制作しています。
また、福岡発の音楽コミュニティー・UMA3SOUL(ウマミソウル)のプロデューサーも務め、シンガーのShoko Peppaや大浦 宗一郎の楽曲を手掛けるなど、幅広く活躍。上品で煌びやかな彼のサウンドは、あまりにも美しすぎてはっと息を飲むほど。
toddy & apple (New oil deals)

2016年に結成、toddy(MC /トラックメイカー)、 urkw(ギター)、ptsushi(ベース)、kawai(ギター/キーボード)、apple(ドラムス)の5人からなるヒップホップ・バンド、New oil deals。BOATには、その内toddyとappleが参加しています。
カラフルでポップなメロディーに乗せて、ナードでゆるいフロウが特徴的で、淡い青春時代を想起させるような楽曲のアンセミックな雰囲気もたまらないグループです。
虎太朗

シンガー・ソングライターの虎太朗は、BOATの最年少メンバー。10代ながらもshakyやI’mが所属する〈Arias〉のレーベル・オーナーを務め、今年の春からはABEMA RADIOとLOVE FMの番組〈Teenage Peeps〉メイン・パーソナリティーを担当するなど、アーティストとしてのみならず、さまざま場でな類まれな才能を発揮しています。
彼が作る楽曲は、エネルギー溢れるポップなメロディーと端正で美しいサウンドの対比が心地良いもの。さらに彼の甘美でクールな歌声が楽曲の魅力をより高めています。
以上、ジャンルの垣根を越えた、多才なBOATのメンバーたちを紹介してきました。
では、バンドからトラックメイカー、SSWまで、あらゆる才能がクリエイティヴな活動するBOATとは? どこから始まり、どこへ向かい、そしてどんな目的を成し遂げようとしているのでしょうか? そんな疑問に、BOATの中心人物であり、MADE IN HEPBURNのメンバーであるYaungTa oにコレクティヴの代表として答えてもらいました。

――BOATが始まったきっかけは?
「2018年の初春だったと思います。当時、YOHLUを活動スタートさせたばかりだったBOKEHとMADE IN HEPBURNでトラックを作る遊びをやったときがありまして。とあるアパートの一室、〈ココノフェスト〉というイベントをやっていたチームの部屋を借りたのですが、そのとき、〈こうやって毎晩、集まって一緒に制作したり、飯食ったりする場所があったらいいね〜〉と盛り上がり。早速、共通の音楽仲間のNew oil dealsやDJのYosukeに声をかけたところあれよあれよと10人集まり。そのノリで2018年の夏には、いまの場所にスタジオを借りていました」
――〈BOAT〉という名前の由来を教えてください。
「僕らが住んでいる福岡は水辺に近いので水に関係するワードを……というのと、福岡は港町だったりもするので、そのイメージを反映していくとBOATに行き着いたんだったというおぼえがあります。
ちなみに、名前をつけた後にスタジオを借りたら、たまたま、ボートレース場の前だったので、運命ですね」
――BOATが拠点としているスタジオ/制作スペースについて、どんな場所か教えてください。
「BOATがあるのは〈maruhachi〉という、1階道路側にボートレース場のハスラー達のための居酒屋、3階にはナイスなアパレルショップ、屋上はBBQも可能というカオスな建物の金庫の中です。もともと、ハスラー向けの質屋だったらしく、随所に面影が残っている建物ですが、特に、BOATが使っている金庫室(1、2Fのメゾネット)は質屋だった頃のバイブスをいまでも感じることができます」
――それぞれがソロで活動する、あるいは〈バンド〉や〈グループ〉として活動するのではなく、15人組の〈クルー〉や〈コレクティヴ〉として活動する理由を教えてください。
「例えば、商店街の青年部であったり、何かの組合であったり。それぞれの生活リスクを分散して、潤滑に暮らすための組織に近いです。
日本だと音楽で食っていけなければ、年齢を重ねるごとに、リスクが大きくなって、なかなか続けることが難しくなることが多いと思いますが、大人数でまとまっていることで、機材や技術、クリエイティブに至るまでを共有できるので、リスクや経費が大幅に減るんです。
その先に、プロじゃなくても、何か仕事をしながらでも、死ぬまでリリースをして、MVを作って、イベントに出演して……というサステナブルな活動が待ってるんじゃないかと。まだ道半ばなので、答えは僕らが60、70代にならないとわからないですが」
――BOATはソロとしても活躍できる才能が集まっていると思います。そんななかで、BOATとして全員で共有しているもの、考え方、思いはなんでしょうか?
「実は、具体的に何か共通の思想があるわけではなく〜あるとすれば、福岡の独特の肌感覚とか時間感覚とか、そういうのを共有……というか互いに許容できる人間たちなんじゃないかと思います。例えば、それぞれみんな、どーしようもない部分もありますけど、お互いにそこを認め合えて、逆に秀でてる部分にはすごくリスペクトがある。
共通している部分と言えば、そんな互いに許しあえるコミュニティ感覚を持っているところでしょうか。当たり前のことだとは思うんですけど、今、この人数でそんな共同体にいれることは、めちゃめちゃ恵まれてるますよね」
――Odd FutureやBROCKHAMPTONなど、2010年代以降コレクティヴは世界的に注目を集めており、日本でもコレクティヴという活動形態が増えていつように感じます。そういった動きについてはどう感じていますか? コレクティヴとして活動するメリットは?
「特に他を意識したことはないし、在り方もそれぞれなんじゃないかと思いますが、僕が体感する増加理由は、前項でも言及しているサステナブルな活動のためには、人数はある程度多いほうが良くて、さらに、アウトプット先が限定されているよりも、コライトで様々なアウトプットの仕方を持っていたほうが、いい意味で無責任に音楽制作できるのからじゃないかと。プロジェクト内で煮詰まることも少ないし、自分のメインプロジェクトに持っていけないようなトラックでもチーム内で共有して、よりクオリティをあげてリリースしたりできるので。
コレクティヴ内でのコミュニケーションの問題さえクリアできれば、こんなに自由度の高い活動方法は、いまのところないんじゃないかと思います。あと、みんなそろったら単純に楽しいです」
――〈このメンバーだからこそ起こせた化学反応〉と感じた経験はありますか?
「BOATはプレイヤーとトラックメイカー、ヴォーカリストとラッパーが良いバランスで存在するので、例えばトラックメイカーが作った雰囲気に、プレイヤーがコードやフレーズをつけて、ヴォーカリストとラッパーが最後に飛躍させる……というシンプルな工程でも、無数の組み合わせで制作できるんですよね。なので、毎作、化学反応おきないことがないです。
最近は逆に化学実験のように、反応を起こしにいっている気さえします」
――福岡の音楽シーンにはTOWER DOORSも注目しています。福岡は他の土地よりもミュージシャンどうしの距離が近く、ジャンルや世代を超えた広い繋がりがシーンを作っているように感じています。BOATのみなさんが注目している福岡のアーティストを教えてください。
「昨年、知り合ったRin音くんやクボタカイくん、そして、その映像を撮っているリチャードくんなんかは、イベントに出てくれたり、スタジオに定期的に遊びに来てくれているのですが、会うたびに技術面でも注目度でも急速に成長していて、今後どんなものがあの界隈からでてくるのか、いちリスナーとしても毎回楽しみにしています。
最近では、meiくんやHenriiくんといったネクストバッターも、スタジオに遊びに来てくれて、彼らもめちゃめちゃいいリリースを出してきたので注目してます。
また彼らと知り合うきっかけになったMega Shinnosukeは、リリースを最初手伝ったりしたんですが、東京に行っても、あの頃すでに持っていたオリジナリティを着々と伸ばしていってるので、こちらも、いちリスナーとしても次なるクリエイティブを楽しみにしています。
あとはそのMega Shinnosukeとバンドを組んでいたshakyの小川朝陽。彼は天才だと思います。BOATの最年少メンバー虎太朗が、その辺のシーン(shakyやI’m、weltmelt)をレーベルオーナーとして引っ張っていってるので、形になるまでがんばれよー!と応援してます。
天才といえば、the perfect meのタクミくん。MADE IN HEPBURNのミックスも担当してもらっているのですが、彼は福岡随一の天才だと思ってます。最近、作品にクラシックの要素まで取り入れてきてるので、次回作が非常に楽しみです。
そして、まだそんなに音楽シーンでは知られていないですが、17歳のDOULちゃん。彼女は3ヶ国語話せて、趣味はフィットネスと格闘技、オリジナリティあふれる自己プロデュース能力を持っていて、なんといっても歌がずば抜けてうまい!スタジオに遊びに来たときも、虎太朗と延々4、5時間セッションしていたり、本当に音楽が好きなんだなぁと感じられる点も含めて、大注目です」
――TOWER DOORSでも多くのインディディペンデントのアーティストを紹介しています。DIYで活動するうえで心がけていることは?
「無理なく、楽しく、クリエイティブに!を心がけてます」
――BOATのメンバーが軒並みソロ作品をリリースし、今回コレクティヴとして初のコンピレーションを発表しました。リリースに至った経緯を教えてください。
「スタジオができて2年目、メンバーも15人まで増えて、未完成のデモも膨大になり(笑)この辺で、ここまでの成果発表をしよう!っていうのと、あとBOATって一体何なんですか?と聞かれることが多くなったので、名刺を作っておきたかった感じです」
――コンピレーションに込めた想いについて教えてください。
「僕らのスタジオが福岡の中心地・天神の北、歩いて15分ほどの工場地帯との境目の湾岸地区にあるので、その空気感をジャケやサウンドでパッケージしてます。2019年はメンバーで、韓国や台湾、グアムを訪れたので、そのときの体験……リゾートやストリート、檳榔にフードなど、現地で感じたカルチャーがフィードバックされています」
――コロナ禍以降、BOATとしてはどんな活動をしていますか? BOATとしての目標や今後の活動について教えてください。
「各自、家でスキルを磨く時間ができたので、トラックはもちろん、クリエイティブに関するいろいろな発見と蓄積をすることができました。その一端がコンピやYOHLUやMADE IN HEPBURN、GOiTOのリリースにでています。当分、ライブはやりづらいと思うので、トラックメイクや映像制作がメインになってくると思います。今後はそれぞれのEPやアルバムを作りながら、まだリリースのないメンバーの作品や、冬にはまた、コンピを出せたらいいなと思ってます」
今回、とても興味深かった点は、コレクティヴやクルーとして活動することは〈サステイナブルな活動をするためにお互いのクリエイティヴを共有しあうこと〉という回答でした。自分たちが所有する技術や機材、考えをシェアすることで、より多くの活動や制作に繋がり、結果的に自分たちのメリット生み出していると感じます。BOATは数あるコレクティヴのなかでも、お互いを尊重し、良い部分を伸ばし合い、クリエイティヴに繋げていく、人肌のぬくもりを感じるコレクティヴだと再認識しました。
また、BOATはコレクティヴとしての活動に留まらず、福岡のインディー・シーンを支えており、メンバー以外の10~30代の若者たちも集うコミュニティーとしての役割を担っています。だからこそ、彼らのそばから次々と新たな才能が送り出されていく。そのため、福岡には次世代を育てる土壌があるのだと感じました。BOATは、そういった点でも重要な〈場所〉なんですね。
今後もBOATの活動に、ぜひご注目を。TwitterやInstagramなどで彼らの最新情報をキャッチ・アップしてください。
RELEASE INFORMATION

リリース日:2020年7月8日
品番:BOAT-005
レーベル:BOAT
仕様:CD
価格:1,650円(税込)

BOAT × WEARTHEMUSIC コラボ・グッズ
福岡を中心に活動するYOHLU、MADE IN HEPBURNなどがメンバーとして所属するクリエイティヴ集団〈BOAT〉のレーベル初となるコンピレーション『電影港湾地区 -BOAT MIX TAPE』(タワーレコード限定)のリリースを記念して、タワーレコードのアパレル・ブランド〈WEARTHEMUSIC〉とコラボ商品を発売。また、〈BOAT〉のオリジナル商品も取り扱いを開始。どちらも数量限定のためお早めに。
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