Page 2 / 3 1ページ目から読む

これまでで最高に無防備

 実はこのアルバムには、彼女たちの心を重くしていた思いを吐露した歌が少なくない。エスティは、「今回の『Women In Music Pt. III』で、私たちはこれまでで最高に正直で、無防備になっている。まるで一周して元に戻ったような感じ。コミュニケーションに関しては、もっと学んで、より良いやり方を知ることができるだろうとは思うけれど、自分たちを落ち込ませるようなことを、前よりもラクに話せるようになったと思う。鬱の経験とか、喪失の経験とか、病気のこととか、自分たちを信じてオープンになって、曲の中で話せるようになったわ」と説明する。

 例えば“Hallelujah”は、 アラナにとって大切な歌だ。彼女が20歳だった、ハイムの最初のツアーが始まる2週間前に、親友が交通事故で亡くなってしまった。それ以来しばらく胸の奥に封印していた喪失感を、ようやく曲にすることができたという。そこへ、エスティもダニエルも大切な家族や友人への感謝の思いを込めて歌詞を繋げていった。

 「“Hallelujah”は、アルバム制作の初期に作った曲だったから、この曲を書き上げたことで、『Women In Music Pt. III』の制作の旅路が本当に開かれたような気がする。この曲を作る経験がなかったら、私たちはアルバムの他の曲で、ここまでオープンになることはなかったように思う」(アラナ)。

 また、“Now I'm In It”は、ダニエルいわく、〈引きこもりになった、鬱病のような実体験〉について歌っているという。ロスタムがすでに作っていた曲に3人が一緒に歌詞を書くという初めての試みから完成したもので、最初はナンセンスな言葉を並べていたものの、ダニエルが〈Now I'm In It(いま私はそこにはまってる)〉と歌い出したところ、エスティとアラナも「どんな曲になるか見えてきたかも」と、歌詞を書き繋げていったそうだ。