『folklore』の姉妹作と位置づけられた9枚目のアルバム。前作同様、巷間言われているアメリカーナやインディー・フォークだけにとどまらず、R&Bも含めた多彩な要素が聴きとれるという意味では、本作の全17曲もコンテンポラリーなポップ・ミュージックだと思う。楽器やリズム・トラックをオフ気味に鳴らした密室感満点のサウンドは、もちろんダンスやパーティーには向かない。しかし、内省的だから物足りない、逆に〈インディー・フォークだからクール〉という捉え方はあまりにも一面的すぎるような気がする。先入観抜きに弾き語りも含め、曲ごとに趣向を凝らした多彩な曲の数々に耳を傾けたい。マーダー・ソングと話題の“no body, no crime”に参加したハイムをはじめとするゲストも豪華だ。