天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野がこの一週間に海外シーンで発表された楽曲から必聴の5曲を紹介する連載〈Pop Style Now〉。今回は年末特別企画として、僕たちが選んだ〈2019年洋楽ベスト・ソング20〉をお届けします!」

田中亮太「〈上半期ベスト・ソング10〉はすごく好評で、ロング・ヒット記事になりましたね。未読の方はそちらもチェックしていただくと、半年間でどんな変化があったのかがわかりますし、〈2019年の洋楽〉がより立体的に見えてくるのでは、と思います!」

天野「そうですね。曲は、めちゃくちゃ入れ替わっていると思いますよ。この20曲には〈PSN〉で紹介していない曲も入っていますし、そのあたりもぜひ楽しみにしていてください。〈私の好きなあの曲は入っているかな?〉なんて期待しながら読んでいただけるとうれしいです」

田中「さて。前置きはこれくらいにして、〈2019年洋楽ベスト・ソング20〉、ドーンといきましょう!

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20. Post Malone “Circles”


天野「まずは20位から。現代のポップスター、ポスト・マローンの“Circles”! 2019年を代表するヒット・ソングで、僕と亮太さんのお気に入りの曲でもあります(笑)。ライブで大合唱必至のわかりやすくて切ないメロディーが、ポスティらしい一曲。〈『エモい』ってこういうことだよね!〉って言いたくなりますね」

田中「もともとはアルバム『Hollywood's Bleeding』からリリースされたファースト・シングルでしたね。シンプルなビートと太いベース、アコースティック・ギターのコード・ストロークがポップなメロディーを彩った、見事な曲です。リンキン・パークのチェスター・ベニントン亡きいま、アメリカでもっともカリスマ的な歌声を持っているのが彼だと僕は思っています!」

 

19. PUP “Kids”


田中「続いて19位は、PUP(パップ)の“Kids”。カナダ、トロントのパンク・バンドが4月にリリースしたサード・アルバム『Morbid Stuff』のリード・シングルでした。パワフルで勢いに満ちた演奏と、アンセミックなメロディーがすごくキャッチー。モッシュ・ピットの中で汗まみれになりながら歌いたい一曲ですね!」

天野「ハッピーで威勢のいいサウンドが彼らの魅力なんですけど、リリックはうつ病や希死念慮といったヘヴィーで現代的なテーマを掘り下げています。この“Kids”では、虚無感を抱えた主人公が、同じような境遇で苦しんでいる誰かと出会う様子が描かれていますね。そんな深さとロマンティックな一面を持っているのが、彼らのいいところだと思います」

 

18. Peggy Gou “Starry Night”


田中「韓国出身のDJ/プロデューサー、ペギー・グーの“Starry Night”が18位! 言わずと知れた、2019年を代表するクラブ・ヒットです。ダンス・ミュージックの聖地、イビザで今年もっともShazamされた楽曲ランキングでは4位に輝いています(笑)。それだけ多くのDJがスピンし、オーディエンスを魅了したということでしょう。シカゴ・ハウス流儀のパンピンなピアノとワイルドなビートは、オーセンティックとも言えそうですが……」

天野「やっぱり身体が抗えないサウンドです! あと、韓国語と英語を織り交ぜた彼女の歌も独特で、耳に残るんですよね。特に、〈Ocean, night, star, song, moment〉というフレーズがすごく快楽的で、中毒性が高い! そんなペギー・グーは、2020年早々に来日。1月4日(土)に東京・渋谷ContactでDJをします。楽しみですね!」

 

17. Brittany Howard “Stay High”


天野アラバマ・シェイクスのシンガー、ブリタニー・ハワードのソロ・デビュー・アルバム『Jaime』から、ソウルフルな“Stay High”を17位に選びました。『Jaime』は彼女の底知れない才能が遺憾なく発揮された、2019年を代表する傑作ですね。バンドではメンバーに合わせていたところもあったと思うのですが、ここでは想像力が赴くまま、とにかく自由な発想で、のびのびと音楽や歌に挑戦している印象です」

田中「同作からは、政治的に踏み込んだ歌詞の“History Repeats”や“13th Century Metal”といった、すばらしいシングルが他にもあったのですが、この“Stay High”がいちばん親しみやすくてポップで、人気もあるんですよね。ファルセット・ヴォイスとコーラスが交わる歌、アコギやトイ・ピアノを使ったアレンジ、ザラッとした音像、ロッカバラード系のリズム、実父に捧げた詞など、どれを取ってもいい!」

 

16. Koffee feat. Gunna “W”


天野「次は、コーフィーとガンナの“W”。ジャマイカ生まれ、弱冠19歳の若きレゲエ・シンガーであるコーフィーは今年、デビューEP『Rapture』でかなり注目を集めました。なんと、グラミー賞にもノミネートされています! 一方のガンナは、いまをときめくアトランタの売れっ子ラッパーですね」

田中「そんな2人によるこの“W”は、ダンスホールやトラップなどが交差したサウンドで、〈ラテン・トラップ以降〉とでも言うべきイマっぽいアーバン・レゲエ・ナンバーです。2019年最大の政治的トピックである気候変動の問題を扱ったビデオも挑戦的ですし、コーフィーというフレッシュな才能には2020年も注目ですね!」