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等身大の自分

――そして、名曲“I don't cry anymore”ですね。EMPiREらしさもあるし、普通に今風の音色使いもハマってて。

NOW「いや、ホントに良い歌。大好き!」

MAYU「これはoniさんの曲で、やっぱりoniさんの曲ってどことなく女っぽくなりますよね(笑)。最初は恋愛じゃないことで書いてたんですけど、歌詞もそこに引っ張られた感じになって。あと、サビの〈お願い行かないで〉っていうフレーズは、MAHOちゃんの提出してた歌詞から拝借して」

NOW「MAHOちゃん細胞が入ってる」

MAYU「そうなんです。ラヴソングの魂が宿っています(笑)。なので、それを主軸にして、〈お願い行かないで〉ってどういうこと?みたいに自分らしく膨らませていったところはありますね」

NOW「これはもう、デモ聴いた時から絶対に振付けしたいなと思ってて、私が一人でやらせていただきました。出来上がった音源を聴いた時もホントに良くて、MAYUちゃんに〈振付け絶対良いの作るから〉って」

MAYU「うん、LINEくれたね(笑)」

NOW「最初はヴォーカルの後ろでバキバキに踊るイメージで作ったんですけど、ちょっと動きが多すぎて」

YU-Ki「張り切りすぎちゃった」

NOW「歌詞が全然入ってこないダンスになっちゃったので、引き算して、〈もう大嫌い〉とか歌詞を身体で表現したり、そういった振付けにしました」

YU-Ki「EMPiREの曲でいちばん〈女〉って感じ。振付けも相まって女を感じる一曲だなと思います。私のイメージでは“I have to go”になる前の話なんですよ。“I don't cry anymore”を乗り越えて、吹っ切れてからの“I have to go”なんですよ」

NOW「おお、それ凄いね~」

――いいですね。昔は〈行かないで〉とか言ってたのに、もう〈行かなきゃ〉って。

YU-Ki「はい。大人になって、あの日の恋愛をふと思い出しちゃう……という私のイメージですね(笑)」

MAYU「おもろいな」

――で、B面最初がその“I have to go”で、それに続くのが“Can you hear me?”。これまたMAYUさんの作詞ということで、高打率ですね。

MAYU「今回は(笑)。前回の『the GREAT JOURNEY ALBUM』の時は不調だったというか、自分的にもどう書いたらいいのかが掴めなくなってたんですけど、今回は自分が歌詞を書く時のやり方っていうのを何となく掴めてきた感じがするので、あとはもうちょっと感情のヴォキャブラリーを増やしていきたいなって思ってます」

――それで言うと“Can you hear me?”はどういう感情で書かれたんでしょうか?

MAYU「これはデモを聴いた時に、私がEMPiREになる前の学校行ってなかった頃の風景が浮かんできて。その、当時は誰もいない早朝に散歩するのが好きで」

――当時は早起きだったんですか?

MAYU「いや、当時も寝れなくて、朝5時ぐらいに散歩してたって感じです(笑)。最初のAメロとかはそのことを思い出して書いてて。で、2Aでは夕方のことを書いてます。朝寝て起きたら昼とか夕方じゃないですか。その後で外に出たりすると下校時間に被るので、それがめっちゃ苦痛だったんですよね」

――動きが世間と逆になって。

MAYU「そう、学生だったので。でも、当時はAメロで書いたような生活で完結してたんですけど、Bメロやサビは現在の自分から昔の私に向けてるというか、最後に〈今 会いにいくから〉って言ってるのは、誰かに会いにいくんじゃなくて、なりたい自分に会いにいくっていう意味で書きました。いまもそこまで完璧に明るくなれたわけじゃないけど、後ろ向きな自分からはちょっと進んで、たまに〈やってみようかな?〉って思ってみる、みたいな感じ。いままでのなかでは、等身大の自分で書けた歌詞かなって感じがしますね」

――曲自体も視界が広がっていくようなスケール感があって、少しずつでも前向きになって終わる感じがいいですよね。

YU-Ki「このEPでいちばん好きな曲です。サビの〈こんな僕でも たまに希望の歌 口ずさむんだ〉がMAYUちゃんっぽいし、他のメンバーが歌うと違う状況が浮かぶというか。NOWが歌う2番のサビが凄く好きで、聴くといつも加入当初のNOWを思い出してグッときちゃうんですよね」

NOW「そうなの? 嬉しい。でも私も歌ってる自分を好きになれる一曲だなと思う。〈何回目でも 歌っていいかな?〉って問いかけてるのが、自分的に凄く好きです」

――いつもは好きになれないんですか。

NOW「自分の声はあんまり好きじゃなかったです。でも、このEPの曲で自分の歌い方が定まったというか、自分の歌声に少し自信も持てるようになって、自分で言うのもなんですけど、これからの自分の声に可能性ちょっと感じちゃったかなって」

MAYU「いいじゃん」

YU-Ki「MAYUちゃんがこれだけストレートに書いてるのも珍しくて、だから余計にくるものがあるのかなと思います」

――まあ、ひねくれてる時代を知ってるだけに(笑)。

MAYU「アハハハ。あと、これは振付けも私が担当して、いったん自分で考えたんですけど、全然うまくできなくて、曲を聴くだけで〈自分は無能だ〉って泣いてしまうみたいな、パブロフの犬みたいになっちゃって(笑)。もう無理だと思って、結局みんなに助けてもらいました」

YU-Ki「〈もう私できない!〉って追い詰められてたよね(笑)」

MAYU「でも、みんな一緒に考えてくれて。私がうまく作れなかったっていう過程も振りに昇華して、最終的に私が仲間に気付いて頼ることを覚えるみたいなストーリーになりました。だから超感謝なんですよ、みんなに」

NOW「MAYUちゃんが主役の振付けになってるんです」

――完成するまでのプロセスそのものを振付けにして。

MAYU「はい。そんな自分すらも良い方向にみんなが持ってってくれて嬉しかったし、そういう意味でも自分にとって大事な一曲になったなって思います」