デビュー時からDMXやエミネムと並んでブリンク182らを影響源に挙げつつも、その側面は作中の一要素に止めてきたMGKだが、前作『Hotel Diablo』から“I Think I'm OKAY”がヒットした結果でもあるのだろう。同曲に続いてトラヴィス・バーカーが総指揮した新作は、主役が歌と一部のギターを担当するポップ・パンク・アルバムに。ミーガン・フォックスとの交際に発展したMVも話題の“My Bloody Valentine”やホールジーと重なる歌声も新鮮な“Forget Me Too”など、内省も備えたメロディックな好曲が連発される。トリッピー・レッドと歌う“All I Know”などはリル・ウェイン『Rebirth』を思い出させる感触で、エモ・ラップなどを経てこういう試みが特殊ではなくなった時代の風情を改めて実感させるような快作。