そうしたアンサンブルの中心で唯一無二の存在感を発揮しているのが、桜井和寿の歌と言葉だ。

コロナ禍以降も彼の歌唱はたびたび日本社会のなかで鳴り響き、人々の支えとなってきた。本作収録曲以外でも医療従事者のサポートを目的とする「PROTECT “to U”」プロジェクトに参加し、Bank Band with Salyu名義の“to U - PROTECT "to U" version”に携わったほか、コロナの感染拡大防止のために結成されたジャニーズの期間限定ユニット「Twenty★Twenty」のチャリティーソングを作詞作曲した。

今回のアルバムでは10曲の本作収録曲中6曲がタイアップ曲。その構成から、桜井の歌が闇夜を照らし出す灯台のような役割を果たしてきたことを再認識させられる方も多いはずだ。映画「ドラえもん のび太の新恐竜」の主題歌となる“Birthday”と“君と重ねたモノローグ”。ドラマ「姉ちゃんの恋人」の主題歌“Brand new planet”。ドラマ「おカネの切れ目が恋のはじまり」の主題歌“turn over?”。さらにはキリンビール
「麒麟特製ストロング」のCMソング“others”、情報番組「ZIP!」のテーマ曲“The song of praise”――。本作は2020年という極めて異例な年のサウンドトラックという一面も持っている。

なお、今回はアルバム・ジャケットやミュージックビデオなど、すべてのアートワークを常田大希(King Gnu)が主宰するクリエイティブ・チーム、PERIMETRONが担当している。Mr.ChildrenとPERIMETRONの世界が混ざり合うことで新たな化学反応も生まれている。

国内外の才能が集結したMr.Childrenのニュー・アルバム『SOUNDTRACKS』。オリジナル・アルバムとしては通算20枚目となる節目の作品でさらに前進する姿勢を見せるところからも、Mr.Childrenというバンドのスタンスが窺えるようだ。