こんにちは、TOWER DOORSスタッフです。

TOWER DOORSが注目する新人アーティストの魅力にメール・インタビューから迫る企画〈6つの質問〉。いままで質問に答えてくれたアーティストの楽曲は下記の再生リストにまとめてあります。

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今回の主役はシンガー・ソングライターのVoliです。TOWER DOORSは彼の楽曲”Planetic”を紹介しています。

Voliは、東京を拠点に活動する鶴堀貴之によるソロ・プロジェクトです。鶴堀が音楽活動を始めたきっかけは、イギリスの大学への留学中にアニメーションを作りながら作曲をしたこと。日本に帰国後、ライブハウスを中心に路上などでも弾き語りのパフォーマンスを開始。2018年1月から〈Voli〉としての活動を始め、台湾では4度もツアーをしている、とてもアクティヴなア―ティストです。同年6月にはファースト・アルバム『FRAGMENTS』をリリースしています。

彼の音楽の魅力は、まずその歌声です。優しさを持った歌と思いやりに満ちた言葉は、聴き手に寄り添い温かく包み込んでくれます。クールな低音から透明感のあるファルセットまでを使い分ける巧みなヴォーカリゼーションには、ほれぼれします。

また、彼の音楽性は多種多様なジャンルへの愛に満ちあふれています。ブルースをベースにしたサウンドに、R&B/ソウル、ジャズ、ファンクなどをブレンドし、彼なりに昇華させた温かみのあるサウンドがなによりの特徴です。

Voliは、そんな幅広い音楽への愛が詰まったニュー・アルバム『BACKTRACK』を2021年1月にリリース。今回紹介した”Planetic”は同作の収録曲で、”Planetic”に限らず、作品全体からはVoliが音楽に懸ける情熱が強く伝わってきます。

そんなVoliに〈6つの質問〉を投げかけてみました。

 

1. 出身地と音楽活動を始めたきっかけ(バンドであれば結成のいきさつ)について教えてください。

「東京出身です。高校の頃に軽音楽部でパンクやミクスチャーのバンドでボーカルをしていました。この頃は音楽をやるというより男子校生たちのありあまるエネルギーのはけ口という感じで、ただただマイクごしに皆で叫んでおりました。進学校だったので卒業と同時にそのバンドはしっかりなくなりました。

その後イギリスの美術大学へ留学し、アニメーションを学びました。一人になってしまいましたが歌うことを欲していた僕は街の小さな楽器屋でDeanというゴリゴリのヘビメタメーカーのアコースティックギターを買って自身で作詞作曲を始めてみました。ギターの弾き方もなんとなくしかわからなかったので、とりあえず太い弦でベースを作り、細い弦で上のメロディを鳴らす感じで探り探り歌に合わせて作っていきました。

慣れない土地での生活に疲れた心を癒すためだったり、ポジティブな気持ちになれるように自分で自分に歌っていたような気がします。この頃に初めて自分の感情や好きな情景を歌にしたり、曲を作るという感覚を覚えました。

作った曲のおかげで友達ができたり、誰かの背中を押してあげられることがあったり、ここでの時間は今でも音楽活動の根幹な気がしています。日本に戻ったらいろんな場所でいろんな人に聴いてもらおうという思いで作り続けました」

2. 現在の音楽性に影響を与えたと思うアーティストや楽曲は?

「挙げればキリがないですが、時代によって影響を受けた音楽は変わっていき今に繋がっている気がします。高校の頃に一番影響を受けたのはRage Against The Machineです。初めはすごい恐い顔して怒りをぶちまけている人達がいるぞ、くらいだったのですが歌詞を知ってゆくと抑圧から解放させるメッセージが凄まじくて、同じくしてエネルギーのはけ口を探していた血気盛んなVoli青年にとっては格好の憧れの的でした。

レイジは後半にかけて洗練されてゆくイメージですが、一枚目のアルバムのハードコア感が残っていて荒々しい感じで好きです。

特にボーカルのZack De La Rochaに憧れて自分もドレッドヘアにし、それを振り乱しながら街を闊歩しておりました。ドレッドヘアと白いシャツ、学校内でそんな格好をしている人は他にいなかったのでそれが自分のオリジナリティとしていたのですが、レイジの来日公演に行ったらドレッドと白いシャツの男だらけで、自分は井の中のザックだったのだと痛感しました」

「その後はクラブにドップリはまってヒップホップやテクノを聴いてました。一番聴いていたのはDialated PeoplesやDJ Babuのトラックだったと思います。巷ではギラギラしたギャングスタラップやR&Bが流行っていましたが、A Tribe Called QuestやMos Def、Black SheepなどNative Tongues周りの生音感のある渋いトラックが好きでした。

ヒップホップカルチャーに傾倒してブレイクダンスを始め、相模大野の駅でクルクル回っていました。誰かにサンプリングされるされるようなクラシックな曲を作りたいといつも思っています。

また兄貴の影響でデトロイトテクノにもハマりました。抑圧された現実社会から解放させるために意識を宇宙へ飛ばすブラックマシンミュージックの哲学に強く惹かれました」

「イギリス時代には日中は穏やかな音楽を聴き、夜はナイトライフに勤しみました。ひとりの時間も多かったので浸れる音楽を好みました。近くの森にギターを持っていって、鳥のさえずりや葉の擦れる音に合わせてアコースティックギターを爪弾くという悟りの境地のような事をしていました。

この頃一番聴いていたのはBrian Enoです。特に“By This River”という曲は何千回と聴いた気がします。この曲のシンプルなピアノのメロディに心を掴まれ、そのフレーズをピアノで何度も練習したりしました。展開もなく、リフがただ流れていくシンプルな曲なのに心にずっと留まる。そんな曲が自分もいつか作れたらと思います。

クラブ系の音楽ではNinja Tuneが好きで、特にBlockhead、Skalpel、Mr. Scruffを好んで聴いていました」

「日本に戻ってからライブハウスやライブバーで歌を歌い始め、弾き語りという世界を知りました。ギター一本声一つで表現し、エンターテイメントさせる奥深さを知りました。特に新高円寺にあるSTAX FREDというライブハウスに入り浸り、そこで演奏するアーティストたちのライブを見ては毎回刺激を受け、新しい世界を吸収しまくりました」

 

3. 今回TOWER DOORSで紹介した曲はどんなふうに生まれた曲で、どんなことを表現していますか?

“Planetic”

「ラブソングというのは何曲か書いてきましたが、愛し合う二人が気持ちを育むような曲が多く、そういえばその恋が実る前の心情の歌というのは書いてないなと思いました。届くかわからないまま誰かに思いを馳せ続ける時間というのは、とても不安定ですが、とても神秘的で輝いている時間に思います。

僕の場合は相手に振り向いてもらうために曲を書いたり、部屋を模様替えしたり、お土産を渡すために旅行へ行ったり、ありとあらゆる手を尽くしてバタバタとしていたので神秘的という言葉からは程遠かったですが(笑)。

この曲の中の主人公のイメージは女性ですが、僕にもそんな時に背中を押してくれたり、温かく浸らせてくれた曲があります。不安な思いの中でもそんな自分に輝きを感じてもらえるような曲を作りたいなと思いました」

4. 交流のあるアーティストでいま注目しているのは?

「交流のあるアーティストだとEmerald、上上Brothers、all about paradise、Luther Fisherとかに注目してます。

Emeraldはソウルやジャズのサウンド・グルーヴが絶妙なバランスでJ-Popに昇華されていて、すごいなと思います。Vo.中野くんのシルキーで柔らかい歌声とバンドの卓越したグルーヴとのマッチが素敵です。彼らのプロフィールにある〈Pop Music発 Black Music経由 Billboard/Blue Note行〉というのはまさにと思います。BillboardかBlue Noteで観れる日が楽しみです」

「上上BrothersはVoのサトウリュースケくんを中心としたスリーピースバンドです。彼とはもともと弾き語りで知り合いました。スリーピースの〈最少で最大〉と言われる凄みを体感させてくれます。3つの個性が合わさって一つの音になる様はスリリングで感動します。自分は勝手にサトウリュースケくんを〈和製エド・シーラン〉と呼んでいます。まず歌がよくて、バンドサウンドによってその世界がさらに広がっていくような音楽は好物です」

「all about paradiseは古くから付き合いのある先輩たちが所属しているバンドで、彼らの作るグルーヴ感や一体感は付け焼き刃では表現できないレベルです。Dr.飛田さんとはVoliの前身のバンドで一緒に演奏させてもらっていました。その活動を止め、お互いのやりたい形を作っていったら、またレーベルメイトとして繋がるという不思議な縁。彼はプレイヤーとしても凄いですが、クリエイターというか、時代の音楽へもしっかりアンテナを張っていてすごいと思います。テクノなどダンスミュージックへの素養がバンドサウンドに落とし込まれていてとてもかっこいいです」

「Luther Fisherくんは三軒茶屋のグレープフルーツムーンというライブハウスのフリーマーケットのイベントで出会ったのですが、ネット上で発信される彼の音楽を聴いて度肝抜かれました。混沌とした中に、繊細さ、切なさを感じて、自分の音楽の世界を新たに広げてくれたような気がします。是非生でライブを観てみたいと思っているアーティストです」

5. TOWER DOORSは新しい音楽との出会いを提供することをコンセプトとするメディアですが、あなたが最近出会った新しい音楽は?

「大宮にあるmore recordsというCDセレクトショップで出会ったKing Garbageの『Make It Sweat』というアルバムです。スモーキーで怪しげな雰囲気がめちゃくちゃカッコいいです。トラックも歌もとてもシンプルですが、メロディやフレーズがいちいち重く自分の好きなツボをついてきて、どの曲もセンスがめちゃくちゃいいなと思います」

6. ライブやリリースといった今後の活動や、やってみたいことなど、これからの展望について教えてください。

「ニューアルバム『BACKTRACK』がひとまずリリースとなったので、また変わらず作品を作っていきたいと思います。

コロナの影響で自分の世話になっているライブハウスが苦境に立たされたり、通常のライブが思うようにできなかったりと難しい事もありますが、配信やWi-fi環境の整備に新たな可能性も感じています。

自分は〈ZASH CREATIVE〉という屋号で音楽・アニメーション・イラストを制作しているので、シンガーソングライターという枠を広げ、いろんな要素を取り込みながら音楽作品の世界を発信していきたいと思っています。

最近4年ローンでバンを買ったので、それを制作スタジオに使えるように改造しようと思っています。それができたらバンで日本を周りながら創作活動をしたいです。一年くらいかけて。その旅でできた作品たちでまた新しい作品集でも出せれば最高です」

 

Rage Against The Machineというミクスチャー・バンドからヒップホップやテクノ、さらにはBrian Enoにまでハマったという、Voliのリスナー遍歴は大変興味深かったです。多様なジャンルから受けた影響が、彼の作品の細部に活かされていると感じました。

冒頭でも触れたとおり、彼はイラストレーションやグラフィック・デザイン、パペット制作など、音楽以外でも多岐にわたる創作活動をしています。たとえば、〈turu〉という名義では音楽を楽しむための子どもに向けたコンテンツやパフォーマンスを行っているそうです。

最後のコメントにあった〈ZASH CREATIVE〉のサイトは、彼が関わってきた番組や制作したデザインが一目で見られます。Voliの音楽の世界に惹かれた方は、ぜひこちらのサイトを訪れてみてください。

また新作『BACKTRACK』は、現在アナログ盤の予約がZASH CREATIVEのオンライン・ショップで可能です。こちらもお見逃しなく!

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RELEASE INFORMATION

リリース日:2021年1月15日
配信リンク:https://nex-tone.link/backtrack

TRACKLIST
1. Smile
2. BACKTRACK
3. My corner
4. Go west!
5. Planetic
6. Modern Times
7. Monster
8. Twilight