スロウタイ(slowthai)『Tyron』低音が際立つ重厚な音作りでヒップホップ色を鮮明に打ち出した意欲作

2021.03.30

英国ノーサンプトン出身のラッパーによるセカンド・アルバム。ポスト・パンクなどヒップホップにとどまらない要素も取り込んだ前作『Nothing Great About Britain』とは違い、ヒップホップ色が鮮明な作品に仕上がっている。ビートは太いキックが際立ち、良質なサウンドシステムで聴くと重厚な低音が耳に襲いかかる。パンキッシュな代表曲“Doorman”に通じる音を求める者は寂しく思うかもしれないが、表現者としての成長を見い出せる力作なのは確かだ。NMEアワードでの女性蔑視発言を背景とした“CANCELLED”、イギリスの国営医療サービスを讃えた“nhs”など、より良い人になろうとする真面目さが随所で滲む。完璧でなくても学びをやめないその姿に、心を動かされる者は少なくないはずだ。

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