常に音楽的進化を続けてきたベッカ・スティーヴンス。2020年のソロ作 『Wonderbloom』での、エレクトロニクスを駆使した実験的な音像には驚かされたが、NY在住のピアニスト、イーラン・メーラーとのデュオによる本作は、一転してアコースティックでスタンダードな内容。優しく寄り添うイーランのピアノがベッカの声の魅力をより際立たせ、圧倒的な説得力を放っている。当初、配信だけでリリースされていた本作が録音されたのは2019年9月だから、『Wonderbloom』とほぼ同時期ということ。全くベクトルの違う作品を同じ期間に制作していたというのもすごい。