RCA傘下のキープ・クールを代表するニューオーリンズ出身のシンガーによる初フル・アルバム(2019年)の拡大版がLP化。DJキャンパーに助力を得て全面制作したDマイルにとっても再躍進のきっかけとなった本作は、ソウル、ファンク、ボサノヴァ、ジャズ、AOR、レゲエなどの要素を散りばめながら現代的な音像を描き、プリンスも真似たりしながらR&Bに着地する。グルーヴィーな出世曲“Roll Some Mo”など、魅惑的なコーラスを交えた主役の歌声も人懐っこくソウルフルだがキレは鋭い。ジニュワイン“Pony”を引用した“Karma”やトニ・ブラクストンの名曲を作者のベイビーフェイスを迎えて換骨奪胎した“Shoulda”という90年代R&Bオマージュにも好感。ヴィクトリア・モネイとのサントラ曲まで含めた充実作だ。