初作でたちまち多くのリスナーを虜にした京都の4人組が鳴らすのは、〈キ・ラ・メ・キ・トゥモロー〉を地で行くギター・ポップ!

 京都から登場したHomecomingsは、女子 × 3+男子 × 1の4人組。どんなバンドかと訊かれたら、声を弾ませて〈ギター・ポップ!〉と紹介したくなるほど、爽快なギター・サウンドと甘酸っぱい歌の魅力に満ちている。そもそも結成されたのは、大学のフォーク・ソング同好会でのこと。昨年、ファースト・ミニ・アルバム『Homecoming with me?』を発表したとき、メンバーのうち2人はまだ在学中だった。 「部活で結成したバンドだったんで、ライヴハウスに出たり、レコーディングしたり、車で遠征したり、そんなバンドとしてあたりまえのことにワクワクして楽しくて仕方なかったです。ライヴで好きなアーティストと共演できたのも嬉しかったけど、正直な話、〈サインしてください!〉って言われるようになったのがいちばん嬉しかったかも(笑)」(福富優樹、ギター/以下同)。

 そして、この3月に大学にいたメンバーもめでたく卒業。バンドの新たな門出を祝うかのように新作EP『I Want You Back EP』がリリースされた。冒頭を飾るタイトル・ナンバーは、分厚いギター・サウンドで疾走するシューゲイズ・ポップ。彼らの新たな代表曲とも言える、最高にキャッチーな仕上がりだ。

 「この曲はずっとライヴで演奏してきた曲なんですが、ライヴでは演奏していない3本目のギターのフレーズがすごく気に入ってます」。

Homecomings 『I Want You Back EP』 SECOND ROYAL(2014 )

 彼らが敬愛するノーマン・ブレイク(ティーンエイジ・ファンクラブ)に〈いいね!〉とお墨付きをもらった“LAKE”や、USインディー・シーンのヴェテラン、マグネティック・フィールズのカヴァー“The Saddest Story Ever Told”など、彼らの音楽嗜好が素直に反映された曲が並ぶなか、福富がヴォーカルで加わった“Thinking of You”のほのぼのとしたポップさも彼ららしい。

 「畳野(彩加、ヴォーカル)さんが一瞬で作ってきた曲で、畳野さんは〈おやすみなさいの曲〉って言ってました。レコーディング直前に1日で作った“LAKE”も同じような展開になっていて、僕たちが何も考えずに作るとこういう曲になるのかも(笑)。僕が歌うパートがある曲は実はこれが初めてなんですが、本当はもっと歌わせてほしいです」。

 そしてラストには、クリスマス・ソングが大好きな彼ららしく、季節外れのウィンター・ソング “Winter Bargein”が収録されるなど、バンドの魅力の詰め合わせとも言える本作。ジャクソン5の名曲を思わせるタイトルに〈もし邦題をつけるなら?〉と尋ねたら、こんな答えが返ってきた。

 「“I Want You Back”には懐かしいものを思い出すときのワクワク・ドキドキして切ない感じを詰め込みまくったんですが、同時に好きなTV番組の最終回をちゃんと観ていないみたいな、大事なものを最後まで大切にできない男の子のダメな感じも詰め込んでいるので……うーんと……難しいですけど、〈キ・ラ・メ・キ・トゥモロー〉でお願いします!!」。

 〈キ・ラ・メ・キ・トゥモロー〉と言えば、グラスゴーのギター・ポップ・バンド、オレンジ・ジュースの名作『Rip It Up』の邦題。間違いなくこのEPは、明日も、明後日も、エヴァーグリーンなキラメキを放っているに違いない。

 

▼関連作品

左から、Homecomingsの2013年のミニ・アルバム『Homecomings with me?』(SECOND ROYAL)、マグネティック・フィールズの91年作、92年作の2in1『The Wayward Bus/Distant Plastic Trees』(Merge)、ジャクソン5の69年作『Diana Ross Presents The Jackson 5』(Motown)、オレンジ・ジュースの82年作『Rip It Up』(Polydor)
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