先日、2021年初の新曲“水硝子”をリリースしたRYUTist。君島大空が作詞・作曲・編曲を担当した同曲は、すでに話題になっています。さらに、2021年8月9日(月・振休)にデビュー10周年を記念した公演〈10th Anniversary RYUTist “HALL” LIVE@りゅーとぴあ劇場〉の開催も決定。昨年、りゅーとぴあでの公演が中止になってしまった悔しさをバネに、4人は8月へ向けて走り出しました。

そんなRYUTistの宇野友恵さんによる書評連載がこちら。第6回は、作詞家・いしわたり淳治さんの著書「言葉にできない想いは本当にあるのか」を紹介してくれます。ともちぃにも、〈言葉〉にまつわるなんとも不思議なエピソードがあるようで……。 *Mikiki編集部

★連載〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉の記事一覧はこちら


 

爽やかな初夏の匂いがしてきましたね。

私はつい先日、自分専用のノートパソコンさんを手に入れて、意気揚々としています。
朝起きたらとりあえずパソコンを開き、デスクトップを眺めて、「寿司打」というタイピング・ゲームをするのが日課になっています。

もちろん、このコラムさんもパソコンで。気分はOLさんです。

 

〈RYUTist宇野友恵の「好き」よファルセットで届け!〉第6回目にご紹介するのは、いしわたり淳治さんの「言葉にできない想いは本当にあるのか」です。

いしわたり淳治 『言葉にできない想いは本当にあるのか』 筑摩書房(2020)

古町7番町にある行きつけの喫茶・浅川園さんでのお写真とともにご紹介します。

(浅川園さんは、新潟のお茶屋さん。
〈抹茶オーレ〉と〈ほうじ茶シフォンケーキ〉をセットでいただくのが好きです。)

 

「言葉にできない想いは本当にあるのか」は、作詞家のいしわたり淳治さんが、日常で見聞きした言葉をピックアップして、それにまつわることを綴ったエッセイ集です。

流行語や、ヒット曲の歌詞や、タレントさんの発言などが丁寧に紐解かれていきます。

言葉へのアンテナの張り巡らせ方、ひとつひとつの解説がおもしろかったです。
流石、言葉を扱うプロだなぁと感じました。

 

ここで、私のエピソードをひとつ。

半年程前、バスを待っていたら、30代前半くらいの知らない男性に声を掛けられました。その男性は、〈「キュン」落としましたよ。〉と、指ハートを作って見せてきました。
よくある〈お姉さん可愛いね〜〉や〈好みの感じだったので〜〉ではない新種の誘い方に混乱しつつも、〈すみません。〉と、断わってちょうど来たバスへ足早に乗り込みました。
(知らない人にはついて行かないと決めています。)

最近の流行語〈キュン〉や〈キュンです〉は、心がときめいた時に使うんだそうです。
楽しいデートの後に好きな人に向かって〈キュンです〉、友達にプレゼントをもらったお礼に〈キュンです〉という具合に。
なるほど。汎用性が高いですね。

そしたら、あの〈「キュン」落としましたよ。〉の意味はどうなるんでしょうか。
〈心のときめきを忘れてますよ。〉→〈あなた、心が疲れていませんか。〉
かなーり怖いです。
親しみやすさを出すためだけではなく、何かの勧誘に向けてしっかり考えられた誘い文句でした。意味を知ってなお怖い体験でした。
(やっぱり知らない人にはついて行かないのが一番です。)