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ギャング・オブ・ユーズ(Gang Of Youths)、オーストラリアを代表するロック・バンドの新曲“the angel of 8th ave.”など今週の洋楽ベスト・ソング

【Pop Style Now】2021年6月11~18日

ギャング・オブ・ユーズ(Gang Of Youths)、オーストラリアを代表するロック・バンドの新曲“the angel of 8th ave.”など今週の洋楽ベスト・ソング

天野龍太郎「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の楽曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。先週、〈SUPERSONIC〉について触れましたが、いよいろ第1弾のラインナップが発表されましたね。ヘッドライナーはゼッドとカイゴ。さらにアラン・ウォーカー、ニッキー・ロメロ、クリーン・バンディット、オーロラ、スティーヴ・アオキ、リハブ(R3HAB)、ディジタリズム、きゃりーぱみゅぱみゅ、フランク・ウォーカーが並んでいます」

田中亮太「かなりエレクトロニック・ミュージック寄り……と言っていいかはわかりませんが、ダンス・ミュージック色の強いラインナップですよね。派手なメンツ! コロナ禍以降に開催される初の海外アーティスト中心のイベントですし、とにかく成功を祈っています! それでは、今週のプレイリストと〈Song Of The Week〉から」

 

Gang Of Youths “the angel of 8th ave.”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉はギャング・オブ・ユーズの“the angel of 8th ave.”! オーストラリア、シドニー出身の人気オルナタティヴ・ロック・バンドによる新曲です。2011年に結成された彼らは、これまでに2作のアルバムをリリース。ダイナミックなバンド・サウンドとアンセミックなメロディー、さらに高揚感にあふれたライブ・パフォーマンスで、本国では圧倒的な人気を誇っています」

田中「フロントマン、デヴィッド・ルオーペペ(David Le’aupepe)のカリズマティックでセクシーな立ち居振る舞いは、U2のボノを思わせますよね。実際、過去のインタビューでU2からの影響を公言していました。あと、ルオーペペはサモア系ユダヤ人なのですが、バンドには韓国系アメリカ人やフィジー出身のメンバーもいます。民族的な多様性を持っていることも彼らの魅力だし、オセアニア地域で幅広いファン層を築いている理由のひとつなんでしょうね」

天野「正直に言って、僕は彼らの作品をちゃんと聴いたことがなかったのですが、この“the angel of 8th ave.”にはノックアウトされました。バンドにとっても、ひとつ上のステップに上がった快作なんじゃないでしょうか。メリハリの効いたサウンド・プロダクションが素晴らしいですよね。イントロの、輪郭がくっきりとした抜けのいいドラム・サウンドを聴いて親指を立てました。アコースティック・ギターとエレクトリック・ギターのアンサンブルも気持ちがいいし、とにかく迷いを一切感じない、確信に満ちた音んですよね。デイヴのヴォーカルも最高!」

田中「持ち前の、ブルース・スプリングスティーンゆずりの詩情にあふれたリリックと、普段の語りがそのままメロディーになったかのような自然なソングライティングも健在。ルオーペペは、この曲のテーマは〈恋に落ち、新しい街で新しい生活をともにスタートすることについて〉だと述べています。ABCニュースのインタビューによると、実際、前作を発表して以降の4年間でいまの妻と出会い、新しい住居に引っ越したんだそうです。この曲のサウンドはこれまでのギャング・オブ・ユーズ節と呼べるものですが、ニュー・アルバムの他の曲ではかなり新しいことに挑戦しているみたい。リリース日などはまだ発表されていないですが、楽しみですね!」

 

Diana Ross “Thank You”

天野「2曲目は、ダイアナ・ロスの新曲“Thank You”です。これ、とても感動的な曲ですよね。曲名からして、泣かせにきているというか……」

田中「シュープリームズのリード・シンガーとして60年代にデビューして以来、ポップ・ミュージック史に刻まれる名曲の数々を歌ってきたダイアナ・ロスについては、説明不要ですよね。彼女が、99年の『Every Day Is A New Day』から実に22年ぶりとなるオリジナル曲で構成されたスタジオ・アルバム『Thank You』を9月10日(金)にリリース。ジャック・アントノフ(Jack Antonoff)、グレゴリー・ポーターなどを手がけるトロイ・ミラー(Troy Miller)、そして名うてのプロダクション・コレクティヴであるトライアングル・パーク(Triangle Park)が共作&プロデュース、ロスの自宅スタジオで主に制作されたアルバムとのことです」

天野「まさに、現代アメリカン・ポップの総力戦というか……。これは同作の表題曲で、プロデューサーはミラー。オーセンティックでゴージャスでダンサブルなファンク・アレンジに安心感があって、見事です。とにかく感動的なのは狂おしいメロディーで、サポーターや神に〈ありがとう〉と繰り返すリリックが泣ける。〈歌うことについて、私は美しい執念のようなものを持っている。今回の曲は、私からあなたへ感謝と愛を込めた贈り物。この素晴らしい音楽をこの時期に録音できて、とても嬉しかった。愛についてのこのアルバムをすべてのリスナーに捧げたい。私の声を聴くと、私の心が『愛こそ道を切り拓く』と言っているのが聴こえると思う〉という、アルバムについてのコメントにも感涙です」

田中「浮き沈みのあるキャリアを歩んできたダイアナ・ロスの音楽人生、そのすべてが詰まったアルバムになっていそうですね。楽しみです」

 

Tyler, The Creator “LUMBERJACK”

天野「タイラー・ザ・クリエイターのニュー・シングル“LUMBERJACK”。2020年から散発的に新曲を発表していて、今年2月にはコカ・コーラのCMソング“Tell Me How”をリリースして話題になっていましたね。今回は、サプライズ・リリースに近い形で来週6月25日(金)に発表される新作『CALL ME IF YOU GET LOST』からのシングルです」

田中大ヒット作『IGOR』(2019年)でポップスターに上り詰めたタイラーが、今度はドロドロとしたダークなヒップホップ・ナンバーでシーンに帰還しました。〈クラシック・タイラー〉と呼んでもいいような、初期のタイラーを思わせるノイジーで不穏なサウンドですね」

天野「ちょっと懐かしい感じ。プロデューサーはタイラー自身です。おなじみDJドラマのプロデューサー・タグが引用されていて、タイラーの盟友でオッド・フューチャーの一員であるジャスパー・ドルフィン(Jasper Dolphin)がアド・リブで参加しています。グラミー受賞で成功を勝ち得たことをラップするイントロに始まり、全体的にセルフ・ボースティングが中心。〈俺を木こり(lumberjack)って呼べよ、争い好きな男だからな〉と〈would〉と〈wood〉をかけたラインが秀逸ですね。この曲を聴いて、新作がすごく楽しみになりました」

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