タワーレコード限定のコンピレーション・アルバム『Midnight Love II - SMOOTH R&B ESSENTIALS』が2021年7月2日(金)にリリースされる。

好評を博しているシリーズの第2弾である本作は、大人の夜に似合う極上のスムースR&Bを選び抜いた逸品。〈これぞクワイエット・ストーム〉と言うべき時代を彩った名曲、80年代以降に隆盛を誇ったいわゆるブラコン(ブラック・コンテンポラリー)の銘品が、CD 2枚にわたってセレクトされている。

今回はそんな『Midnight Love II』について、ソウル・ミュージック/R&Bについての執筆で知られる音楽ジャーナリストの林剛がその魅力を解説する。 *Mikiki編集部

VARIOUS ARTISTS 『Midnight Love II - SMOOTH R&B ESSENTIALS(タワーレコード限定)』 ソニー(2021)

 

R&Bの名バラードで堪能するNYのムード

キース・スウェットがパーソナリティーを務める〈The Sweat Hotel〉というラジオ番組がある。70年代後半から80年代にブラック・コンテンポラリーと呼ばれた曲を中心に、その流れを汲む90年代以降のR&Bも交えたスロウ・ジャム番組で、2007年から全米の主要R&B局で放送されている人気プログラムだ。遡れば、70年代にワシントンDCのWHUR局がスモーキー・ロビンソンの曲に着想を得て始めたラジオ・フォーマット〈クワイエット・ストーム〉が源流で、NYのWBLS局でDJのフランキ・クロッカーが〈アーバン・コンテンポラリー〉という呼称を用いて楽曲を紹介したラジオ番組の現代版とも言える。R&Bにはダンス・ミュージックとともに進化してきた側面がある一方で、その片輪として生活に密着したチルアウト目的のスロウ・ジャムやバラードが存在し、主にラジオを通してブラック・コミュニティーの日常を潤してきた。

そんなムードをパッケージしたのが、80年代中期~90年代初期のR&Bバラード/スロウ・ジャムを集めたタワーレコードの企画によるCD 2枚組コンピレーション『Midnight Love - SMOOTH R&B ESSENTIALS』。昨年11月に発売されたワーナーミュージック編に続く今回のソニーミュージック編『Midnight Love II - SMOOTH R&B ESSENTIALS』は、現在ソニーが発売権を持つコロムビア、エピック、RCA、アリスタ、ジャイヴなどの音源からなり、ワーナー編と同様、ディスク1に男性ヴォーカル、ディスク2に女性ヴォーカルの曲を収録している。ブラック・ミュージックの雰囲気を言い表す常套語〈スムーズ〉〈メロウ〉〈アーバン〉の権化とでも言うべき曲が並び、マンハッタン・ブリッジを手前にブルックリン・ブリッジと摩天楼を写したNYの夜景ジャケットも収録曲のムードを端的に伝えている。