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終わりを迎える寂しさ

――それから、アーティスト盤にはwagaさんが手掛けた“閃光のあとに”も収録されていて。こちらは、佐藤さんから〈シンセやカッティング・ギターを多用したシンプルでダンサブルなロック〉というオーダーがあったとか。

yuxuki「そうですね。世界的にもですけど、最近はR&BやEDMをよく聴いてたんで、そういうものを落とし込みたいなと。ギターの生感を、というよりは完全に素材みたいな感じで緻密にエディットして、シンセも自分で打ち込んで。ただ、そうやって作った結果、めちゃくちゃシビアな曲になってしまったんですよね。リズムがちょっとずれると一気にノれなくなる。とはいえプレイヤーの有機的なグルーヴは欲しいしで、その塩梅が難しかったです。ただ、逆に言うとじっくり時間をかけて全体のリズムのグルーヴを組めたのはよかったなと。それで曲の印象が変わったなと思います」

――この曲はコーラスもヴォーカル・シンセを多く使われてますね。

yuxuki「ヴォーカル・シンセはここ数年、海外の曲だとベタだと思うんですけど、改めて使ってみるとおもしろいなと。あとこの曲、実は〈花火〉がテーマなんですけど、もともと夏の終わりの曲みたいな、例えばAIRの“夏の色を探しに”とか、フジファブリックの“若者のすべて”とかが好きなんで、〈もうすぐ終わりを迎える寂しさ〉みたいなイメージで作れたらいいなあって。で、ヴォーカル・シンセのところは、花火的にはちょうどいちばん盛り上がってるシーンなのかなっていう。ここを境に終わっていく雰囲気を効果的に出せたらなって」

――ああ、どこか儚さもありますよね。

yuxuki「あと、メインのシンセのところは佐藤さんが入ってガラッと変わりましたね、ミックス当日に(笑)。デモとは違う質感ですけど、大人な感じで、これはこれでカッコイイなと。自分ひとりじゃできないものが、バンドだとできるっていうのがすごくいいなと思いましたね。シンプルに楽しかったです」