コラム

スクエアプッシャー(Squarepusher)『Feed Me Weird Things』フュージョンと電子音楽のミッシングリンクを埋める革新的デビュー作を再考

ベーシストとしてのスクエアプッシャーに改めて再注目!

 それまでは、ミュージシャンが演奏したリズムからタイミングを得て、プログラミングによって洗練させたり、先鋭化させたりしてきたエレクトロニック・ミュージックが、ミュージシャンではおいそれと演奏できないようなリズムの構築に夢中になったのが、ドラムンベースが勢いを持った90年代後半だった。おそらく時代が違えば、ベーシストとして脚光を浴びたであろうスクエアプッシャーは、ドラムンベースの先陣を切る存在として登場した。

 その名を知らしめることになったデビュー・アルバム『Feed Me Weird Things』が、リマスタリングされHQCDとして再発となった。96年のリリース当時は、アシッドハウスやダブなどからの影響も強く伺えるトラックの破天荒なミックスにまず惹かれたのだが、いまは彼が弾くエレクトリック・ベースに耳が向かう。改めて、ベーシストとしてのスクエアプッシャーに焦点が当たるべき時代になったのかもしれないと思う。

 明確にベースを弾いていることが聴き取れる曲は、冒頭の“Squarepusher Theme”をはじめとして、アルバム全体の半分ほどだが、ジャコ・パストリアスやスタンリー・クラークを彷彿させるプレイは際立っている。リリース当時もそんな比較はされていたが(意外性のある繋がりという意味で)、ジャズ・フュージョンもドラムンベースも過去となった2021年現在に『Feed Me Weird Things』を聴くと、70年代から90年代までが一繋がりの時代にも思えてくる。だからこそ、フュージョンとエレクトロニック・ミュージックのミッシングリンクを埋める作品として聴き直し、再評価されるべきでもあるだろう。さらに、サンダーキャットも並べてみるならば、現在に至るまでの革新的だったベーシストたちの系譜を辿っていくこともできる。『Feed Me Weird Things』の再発は、そんな聴き方にも誘うのだ。

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