コラム

スクエアプッシャーがみずから開発に携わった最新ソフトウェア駆使した新作は、強迫的なまでの密度と情報量持つ凶暴サウンド

photo by Tim Saccenti 2015

 

さらなる進化を遂げた、ジャズと電子音楽の凶暴な接点

 スクエアプッシャー3年ぶり最新作のプロモーショナル・コピーが届いたのは、東京が満開の桜に浮き立つ3月の末だった。個人的には時節柄、桃源郷のようなあの名曲……ジャズ/フュージョンとエレクトロニカの無上の結実といえる《Iambic 9 Poetry》を聴いていたところだった。近年のスクエアプッシャーに関しては、軽快なフュージョン路線の《Just A Souvenir》や、歌ものバンド・プロジェクトのShobaleader Oneが印象的で、正直、老成に向かっていると思っていた。

SQUAREPUSHER Damogen Furies Warp/BEAT(2015)

 しかし今回届いた《Damogen Furies》は春のうららかな陽光のもと、色とりどりの花たちと聴くなど、最もそぐわない種類の音楽だった。とてつもなくハードで、凶暴なスクエアプッシャーが帰ってきたのである。それどころか《Damogen Furies》は、彼の歴史の中でも一際壮絶な作品といっていい。

 スクエアプッシャーの音がここに来てよりハードな方向に進化したのは、今回のプロダクションに使われた、最新のソフトウェアの産物だろう。長い年月をかけて自ら開発に取り組んできたその最新システムによって、強迫的なまでに隙間を埋めていく一音一音が高解像度にアップデートされ、音の密度と情報量がかつてないほど膨れ上がった。ソング・ライティング的には、ジャコ・パストリアスを敬愛するベース奏者でもある彼の豊かな音楽的素養……冒頭で挙げた諸作をはじめ、97年の出世作《Hard Normal Daddy》から脈々と練り上げられてきたポップ・センスが、確かにあちこちに存在しているのだ。ただそれすらも複雑怪奇な高速ブレイクビーツ、激しく歪んだアシッド・シンセ、プログレばりの早弾き等々からなる轟音の渦に飲み込まれ、旋律はその渦をさらに大きく速くする。

 なお最新のライヴ映像によると、近年取り組んでいた視覚的演出の部分もさらなる進化を遂げている。5月に行われる日本公演は、驚きに満ちた体験となるだろう。

 

LIVE INFORMATION

『Squarepusher単独公演決定!』

○5/15(金)18:00開演 会場:恵比寿ガーデンホール
○5/16(土)"The Star Festival " 会場:スチール®の森 京都
出演:DJ KOZE / ZIP / FUMIYA TANAKA / LAWRENCE / AXEL BOMAN / and more...

www.beatink.com/ 

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