自由とは、誇りとは何か——初のパレスチナ人ラップ・グループとされるDAMを中心に、イスラエルのパレスチナ自治区におけるヒップホップ・ムーヴメントを追った「自由と壁とヒップホップ(原題:Slingshot Hip Hop)」。昨年の日本公開時にも話題を呼んだドキュメンタリー映画がこのたび待望のDVD化となりました。

 

 

 監督のジャッキー・リーム・サッロームは、パレスチナ人とシリア人の両親を持ち、アラブに対するイメージの画一化に疑問を投げかけてきた人。ここではDAMが活動する姿を通して、社会的な抑圧に苦しむ女性たち、貧困にあえぐ若者たちにとっての〈非暴力の抵抗〉手段としてヒップホップが機能していく様を映し出しています。

ジャッキー・リーム・サッローム 自由と壁とヒップホップ ラインコミュニケーションズ(2014)

 ただ、彼女が浮き彫りにするのはいわゆるパレスチナ問題に伴う占領や分断という意味での〈壁〉だけではありません。ここでいう〈壁〉は、性別や世代間の断絶、固定観念に基づく差別や偏見といったものすべてであり、それは誰しもの身の回りに存在するものでしょう。そういう意味でも、これは誰にとっても他人事じゃない作品なのだと思います。

 

 

 なお、同時期にDAMのセカンド・アルバム『Dabke On The Moon』(2012年)も日本盤化。伝統音楽のダブケを下地にしたオリジナルなスタイルの熱さをぜひご堪能あれ。

 

 

▼関連作品

このたび日本盤がリリースされたDAMの2012年作『Dabke On The Moon』(Dam/Tuff Beats)
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