アリス・コルトレーンやドロシー・アシュビーの遺伝子を現代に蘇らせるハープ奏者がインパルスからメジャー・デビュー。ですよね、と言いたくなるほどに、シャバカがそうであったように、スピリチュアル・ジャズの総本山たるこの名門が彼女と契約しない理由はない。その演奏には確実にアリスやドロシーからの影響がある。そのうえで盟友デズロン・ダグラスプロデュースのもと、ヒップホップなど現代的なアプローチを積極的に取りながらジャズ・ハープの可能性を更新するようなプレイは美しさと同時に一音一音に強さを持つ。ゲストにロン・カーターも参加、新たなジャズ・ハープの名盤誕生の瞬間だ。

 


ヒップホップ/R&Bのフィールドにも跨がって活躍するハープ奏者がメジャー・デビュー。ハープの繊細で情緒的な音色を活かした美麗なナンバーのみならず、スピリチュアルなグルーヴが渦巻く“Spirit U Will”やビート・ミュージック的な展開を備えた表題曲、アコースティックな“Beautiful Is Black”など想像以上に幅広い楽曲が揃っている。タリオナ“タンク”ボール(タンク・アンド・ザ・バンガズ)が歌う“Pretend”も聴きモノだ。