(左から)エイドリアン・レンカー、ジェイムズ・クリヴチェニア、マックス・オレアルチック、バック・ミーク、三船雅也

4人は火を囲むように音を鳴らす
僕たちの心盗んでいってしまった素敵な大泥棒Big Thief

どうもご無沙汰しています、久しぶりの熊戦記です。

皆さんはいかがお過ごしでしょうか。このコロナの世界にも少しずつ慣れてきて、特にこの2022年は音楽のフェスティバルが復活した1つの記念すべき時代の転換点だと思っています。

およそ3年弱ぶりに海外のアーティストがたくさん来日してくれるようになってきてミフネ個人としてもとてもうれしく、この世界を楽しんでいます。

さて今回は、大阪・名古屋・東京公演が記憶に新しいBig Thiefのメンバーみんなとお話をする機会をいただきましたので、それを皆さんにシェアしたいと思います。

ロットもこの5年間、止まることなくアルバムをリリースし続けていて、まぁ俗に言う多作な方ではあると思いますが、Big Thiefのメンバーも本当に多作で休まずに創作とライブを続けています。

そして作品は回数を重ねるごとにどんどん良くなっていくという魔法のようなバンドなところにミフネ自身非常にシンパシーを感じていて、この世界が非常事態の中でクリエイティブをしていくというマインドセットとか、その多忙な中でどうやってバンドを良くしていくのか?など、ミュージシャンの目線で、他のインタビューでは聞けないようなお話ができたと思います。

話してみたら等身大でシャイで、心の底から音楽が好きな、ほんとに素敵な人たちでした。

Big Thiefのような生粋の純粋なバンドがちゃんと正当に評価されている、その事実があるだけで僕たちはこのめちゃくちゃな世界でもまだ生きていけそうな気がするではありませんか。

Big Thiefという素敵な大泥棒たちに心を盗まれてしまったすべての人たちへ。


 

三船雅也「今日はこのような機会をいただいて、ありがとうございます。日本のツアーはどうですか、疲れましたか?」

バック・ミーク「最高ですよ! 食事も美味しくて、ヘルシーなスープもグッド! ツアーする時にはとても助かります」

マックス・オレアルチック「人も最高!」

エイドリアン・レンカー「すごい楽しい。少し疲れてフラフラして朦朧とするけど、それも楽しいよね。アジア圏というか、西洋以外の国に来たのは初めてで、周りを見ても文字も読めないし、そういう感じがちょっと面白くて、夢の世界にいるみたいだよねって」

三船「私の友人たちが、先日の大阪のギグがすごい良かったって絶賛してました!」

エイドリアン「大阪のギグはベストショーでした」

ジェイムズ・クリヴチェニア「私たちも4ヶ月ぶりに再会してすぐの、2回目の公演だったんです。でも、フレッシュな気持ちでできて、プレッシャーもなくて、自分達でもトップ10に入るくらいの良いライブだったよ」

三船「今日の東京のギグはそれを超えてもらわないとね!」

マックス「それはやってみないとわからない。ミステリーだね」

三船「僕はずっとBig Thiefのクリエイティブの秘密を知りたいと思ってました。だから今日はいくつか質問させて下さい。皆さんはこのCOVIDの中でソロ作品も作っていました。そしてそのクリエイティブの後に2枚組20曲のアルバム(2022年作『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』)をリリースして、更にギグをやって、ツアーを回ってすごく忙しかったはずなのに、こんなにたくさんアルバムを出せるその秘密は何だと思いますか?」

エイドリアン「オートミールを毎日食べることかな(笑)」

バック「あとは、やっぱりお互いがベストフレンドで、すごく仲が良い、そういうところが秘訣だと思うよ。信頼関係もあるし、お互い音楽を作ろうっていう好奇心もすごい旺盛。また、何かアイデアがあったらすぐ自由にメンバーにぶつけてみて、失敗を恐れずにセッションをしてみることができる。とにかく実験的に前に進んでいこうっていう気持ちがみんなにあります」

エイドリアン「ある日、夢を見たんですね。夢で会ったその友達は60歳のお爺さんなんですけど、お酒を飲みすぎて突然そのお店で死んでしまいました。すごく悲しくなったけど、結局それって何か自分に当てはまるな、って思って。自分の投影なのかなと思いました。そのお爺さんはとても素晴らしい方で才能もあって、60歳なんだけどとても遊び心がある子供みたいな人でした。もしかしたらそれは私と同じなのかなっていう風に気付いて。

やっぱりバンドをやっていてすごく大事なことは、その子供のような心だと思うんです。大人になるにつれて、だんだん守りに入って、色んなことを見落としてしまう。名声でもお金でもなくピュアな好奇心や子供の心みたいなもの、それをバンドとしてはすごく大事にしていて、そしてバンドのみんなもそういうものを持ってると思うんです。バンドとして活動してる時に、ワクワクするかどうか、ハングリーで好奇心があるどうか、情熱があるか、そういうのを常に確認しながら活動してると思う。それこそが私たちバンドのミステリーというかスペシャルな部分かな」