Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【酒井優考】

SACOYANS “家”

さかきばらみなちゃんが出てるというので観てみたら、めちゃくちゃカッコよくてビックリ。荒々しい轟音の中にグワッと来るようなセンチメンタルさとヒリヒリさがあって、轟音だけのバンドならいくらでもいるけど、このセンチさを混ぜ込めるのは、いろんな音楽(例えばコード進行を大事にしていた頃の洋楽とか)をきちんと聴き込んでいないとできない芸当だと思う。〈めっちゃ武闘派のLOVE PSYCHEDELICO〉とか、〈めっちゃ不良のGLIM SPANKY〉とか言おうと思ったけどどれも違うし(そもそもこちらは男女4人だし)、タワレコオンラインでは前作を〈ブリグリ&スマパンなアラフォー泣かせのヤングフレッシュバンド〉と表現してるけど……分かるけどそれもちょっと違う気もする。もっと彼女たちのことをちゃんと知りたいと思ってインタビューを読んだり、前作収録曲の“ニベア”も聴いてみたり(これもめちゃくちゃいい)、ボーカルのSACOYANが過去にアップしていた曲を聴いたりダウンロードしたりしてみたけど、当時からすでに独自の世界観が出来上がっているし(この曲も2011年には出来ている)、そこからバンドになっての進化もまたすごい。すごい、令和の日本にこんなバンドいたのか! 次来そう! とりあえずCD注文した!

 

【天野龍太郎】

PR0P0SE “遠灯”

なんとPR0P0SEが新曲をリリース! 〈誰とも違い続くチャプター2〉というオノマトペ大臣の悲しげなラインがぐっときました。

 

【鈴木英之介】

橋本絵莉子 “今日がインフィニティ”

2021年12月8日(水)にリリースされる初のソロアルバム『日記を燃やして』からの1曲。チャットモンチーの登場以降、彼女たちの後ろ姿を追いかけるかのように数多の女性ロッカーが出てきたわけだが、こうして改めて橋本絵莉子の歌声とパフォーマンスに接すると、やはり圧倒的な〈本物感〉が感じられ、聴いていて思わず背筋が伸びてしまう。またタイトなバンドサウンドに乗った赤裸々な歌詞にも、耳を奪われる。中でもやはり強烈なのは〈解散はできないようにもうバンドは組まない〉という一節だろう。チャットモンチーの解散に思いを馳せながら聴くと非常に切ないが、しかし同時に橋本が一人のアーティストとして新たなフェイズへ踏み出したことを逆説的に表明する、力強いフレーズであるようにも感じられてならない。

 

【田中亮太】

Sugar House “Blind”

2019年結成、東京を拠点に活動するインディーバンドが11月10日(金)にリリースするファーストEP『Surface』からのリードソング。すべてを撥ね退けながら邁進するビート、刃物のごときギターサウンドによるゴーイング・ゼロなロックンロールに痺れました。そして艶やかな歌声はまるで悪魔の囁きのよう。2000年代初頭のプライマル・スクリームを彷彿とさせる、苛立ちと逃避への志向を併せ持つ4人組なのではないでしょうか。いまもっともライブを観たい人たち。