姓を冠した表題は前作『Alicia』(2020年)の続きなのか、初の2枚組で新作がリリース。盤はそれぞれ〈Originals〉〈Unlocked〉と名付けられ、そのうち10曲は同曲異アレンジで聴かせるという趣向だ。本人主導の〈Originals〉はラファエル・サディークらも迎えて本来の作法で聴かせ、〈Unlocked〉はマイク・ウィル・メイド・イットと共同制作したヒップホップ寄りの仕上がりとなる。まあ、ビーニー・シーゲル“The Truth”をループした“Plentiful”、シャーデー使いの“Best Of Me”、ドラマティックな“Old Memories”など前者は圧巻の名曲揃い。〈Unlocked〉が丸ごと要るのかは聴く人次第だろうが、それでもやりたいようにやってみたのだろう。ノスタルジーで消費されることだけを良しとしない姿勢がやはり頼もしい。