ドラマ主題歌として話題の“灯火”を含む4年ぶりのサード・アルバム。前作『魔法』に参加したメンバーを中心とした魔法バンド(岡田拓郎、千葉広樹、神谷洵平、谷口雄)と共に制作され、4人の生々しい演奏に岡田のミックスがアンビエント感を加えた現代的なインディー・フォークは、ジャック・アントノフが関わったテイラー・スウィフトやラナ・デル・レイの近作にも通じるものがある。もちろん、楽曲の中心にあるのは優河の大らかな、包容力を感じさせる歌声であり、特に“WATER”や“ゆらぎ”で聴くことのできる多声コーラスは本作の大きな特徴。歌詞には〈夜明け〉という言葉が散りばめられ、先の見えない混沌とした時代のなかで朝が来ることを願う、祈りのような歌が詰まった作品でもある。