2014年から永遠へ

Gファンク隆盛期に、そのカウンターとして台頭したのが、〈西のネイティヴ・タン〉と形容されることもあったファーサイドや、オークランドから出現したハイエログリフィクスの面々だった。なかでも後者に属する4人組のソウルズ・オブ・ミスチーフは、ジャイヴと契約してクラシックと呼ぶに相応しい『93 'Til Infinity』(93年)を投下。ジュラシック5やダイレイテッド・ピープルズらが表舞台に出てくるまで西海岸なりのオーセンティックなヒップホップ・スタイルを繋ぎ続けた重要グループとしての評価は今後も揺るぎないだろう。

SOULS OF MISCHIEF 『There Is Only Now』 Linear Labs/BBQ(2013)

 で、ここ最近もマイペースに活動を続けながらハイエロ軍団としてのアルバムや個々の客演などを続けていた彼らだが、今回登場したおよそ5年ぶりのニュー・アルバム『There Is Only Now』は、あのエイドリアン・ヤングがプロデュースということでまた違った評判を招いている。エイドリアンといえば70sにこだわった偏執的なサウンドメイクで知られる奇才で、往年のヴォーカル・グループであるデルフォニックスを復活させたり、ゴーストフェイス・キラーのアルバムを丸ごとソウフルフルに手掛けている人。

 そもそも今作はGFKと同じソウル・テンプル(RZAのレーベル)から出る予定だったのが、半年の延期を経てエイドリアン自身のレーベルから出てきたものだ。それほどまでしてこだわった成果は、隅々まで配慮の行き届いたジャジー&ドープな作中のそこかしこに確認できる構成に、ATCQのアリやスヌープ、バスタ・ライムズらの登場人物も交えて、ソウルズならではの歌心に満ちたラップとハーモニーが芳醇な黒光りグルーヴをいい感じに彩っている。最近また元気になってきたファーサイドら同輩と共にマストで浸ってほしい一枚だ。

 

▼関連作品

左から、ソウルズ・オブ・ミスチーフの93年作『93 'Til Infinity』(Jive)、デルフォニックスの2013年作『Adrian Younge Presents The Delfonics』(Wax Poetics)、ゴーストフェイス・キラーの2013年作『Twelve Reasons To Die』(Soul Temple)、ハイエログリフィクスの2013年作『The Kitchen』(Hiero Imperium)
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