ピューリッツァー賞を受賞した前作『DAMN.』から5年、業界がもっとも注目するケンドリック・ラマーの新作は時代に逆行する2枚組仕様で、〈The Big Stepper〉ディスクと〈Mr. Morale〉ディスクに各9曲、全18曲という圧巻のヴォリューム。自身のパートナーや子どもたちとともに写ったジャケットに象徴されるように今回は等身大の自分自身についてより深く描いており、メンタルの問題や家庭内トラブル、トラウマ、ジェンダーなどなど黒人社会でも一般的に起きているさまざまな出来事をシリアスに綴っている。サウンウェイヴが中心となって手掛けたトラック群はジャズやソウルなどの要素も織り交ぜて世界観に合致しており、要所で絡む客演陣の中ではゴーストフェイス・キラーの参加がひときわアツい。