実に6年ぶりとなる4作目はロマンティックなラヴソングを多く含むポップス集。簡素なリズムマシーンを用いた“それは違法でした”、トロンボーンが華やかな“まだ平気?”の冒頭2曲からはうっすらとコロナ禍のムードが感じられるものの、その後はムード歌謡~グループサウンズ的な曲調で〈君と僕〉が歌われていて、ベースを担当するAYAのコーラスも含め、その印象はいつになくポップだ。アルバム・タイトルから推測すると、社会の混沌に対する反動から〈物語、寓話〉として描かれているのかもしれないが、こんなスウィートな作品が聴けることを素直に喜びたい。坂本自身がベースを弾いたミニマル・ファンク“ある日のこと”から、フルートをフィーチャーした“恋の行方”へと至るラストの流れも秀逸。