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職人技をリゾートポップ化したシティポップ好きのマストアイテム

デビュー作『HOT IS COOL(+1)』は、いま述べたことを具現化させつつ、車で聴くのを想定してのドライビングフュージョン。シーンの趨勢もあってかドラムはすべて打ち込みで、自ずとカッチリ構築した音になっている。が、あくまでメロディーを立てるサウンド作りで、古臭さは微塵もない。とりわけ上モノに関しては、一流セッションマンの演奏スキルを存分に堪能できるようにアレンジ。何よりココを起点に10枚以上の作品が連なるワケで、そのベーシックをいきなり1作目で完成させてしまったのが驚異的だ。

堀井勝美PROJECT 『HOT IS COOL (+1)』 ソニー/air(2023)

その勢いを駆って、セカンド『AVENUE OF ENTERTAINMENT(+3)』はわずか半年のインターバルで登場。今回は鈴木英人のイラスト集をモチーフに楽曲が書かれ、参加ミュージシャンの創造力をも盛り込んだ。ドラムに岡本郭男(スペクトラム〜AB’S)、ハープに八木のぶおを起用してライブ感を捻出したのも、この2作目に於ける新生面である。

堀井勝美PROJECT 『AVENUE OF ENTERTAINMENT (+3)』 ソニー/air(2023)

『OCEAN DRIVE(+3)』は88年発表のPROJECT 3作目。1作目はウエストコースト、2作目はニューヨークのイメージで作曲したのに対し、これはイーストシーサイド、具体的にはマイアミやフロリダのイメージで作られ、ラテン色の強い曲を入れたり、より多彩なサウンドに取り組んでいる。常連メンバーに加え、本多俊之(サックス)、向谷実(キーボード/ex-カシオペア)、鈴木“リカ”徹(ドラムス/ex-プリズム)、野力奏一(キーボード)に、当時の角松敏生のブレーンである青木智仁(ベース)、林有三(キーボード)、石川雅春(ドラムス)などの若手も。TV CMに使用されて唯一のシングルに切られた“CRUISING BOY”は、ココに収録。

堀井勝美PROJECT 『OCEAN DRIVE (+3)』 ソニー/air(2023)

89年の4作目のアルバム『FRONT AND REAR(+3)』もほぼ同じ陣容だが、新たにラリー・コリエルが参入してのレコーディング。フェアライトの開発によって、打ち込み使用率もアップした。堀井自身この4作目を集大成として考えていたようで、そこに時代の音に倣ったアーバンファンクエッセンスを加味。梶原順(ギター)や本田雅人(サックス)など、角松バンドからの参加が増えたのも、それと連動してのことと思える。

堀井勝美PROJECT 『FRONT AND REAR (+3)』 ソニー/air(2023)

かくして同年、新曲入りリミックスベスト盤『THE WAY I FEEL』をリリース。これは編集盤ゆえ今回のラインナップには入っていないが、各再発盤に収録されたボーナストラックは、いずれもココからのセレクト。

そしてこれを挟んで、初のLA録音を含む5枚目のオリジナルアルバム『SUMMER’S』(90年)が登場する。これはLAからバジー・フェイトン/ラス・フリーマン(ギター)やブランドン・フィールズ/ジェラルド・アルブライト(サックス)、東京から常連の難波・土岐・八木らに角松バンドの青木・石川・梶原・本田ら参加するユニークな英米混成ユニット作。各アルバムのエピローグを飾る“Alone At Last”のバリエーションも、ここでは完全なる一発録りだそうだ。

堀井勝美PROJECT 『SUMMER’S』 ソニー/air(2023)

世界的シティポップブーム到来で、その解釈が曖昧になり、海外のシティポップ好きは、踊れるアイドルポップをもその範疇に収める。その是非はともかく、インストもアリならば、優れた職人技を聴きやすいリゾートポップに置き換えた堀井勝美PROJECTだってマストアイテムである。

 


RELEASE INFORMATION

堀井勝美PROJECT 『HOT IS COOL (+1)』 ソニー/air(2023)

リリース日:2023年1月25日
品番:MHC7-30061
価格:2,530円(税込)

映画「ドラえもん」シリーズ(99~2005年)の音楽、NHK銀河テレビ小説やNHK連続テレビ小説(朝ドラ)の音楽、「ゲゲゲの鬼太郎」(テレビアニメ第5シリーズ)の音楽など、TV・アニメ・CM・映画・舞台などの作曲・プロデュースを多数手掛けた、作曲家・編曲家・プロデューサー・東京音楽大学教授の堀井勝美が、超一流ミュージシャンを多数起用したインスト~フュージョンプロジェクトのファーストアルバム。難波弘之(キーボード)、鳴瀬喜博(ベース)、是方博邦(ギター)など、のちの野獣王国のメンバー、倉田信雄(キーボード)、数原晋(フリューゲルホルン)、土岐英史(サックス)、川瀬正人(パーカッション)など超一流ミュージシャンが多数参加。80年代後半の雰囲気を色濃く反映し、シンセやボコーダー、プログラミングリズムを多用し、キャッチ―なアーバンフュージョンを展開。もともとイラストレーター鈴木英人とのコラボをコンセプトとしてスタートした企画であり、映像的なインスト~ハイブリッドサウンドは汎用性が高く、当時のTV・ラジオ・CMなどのBGMとして多用された。ボーナストラックとしてリミックスベストアルバム『The Way I Feel』(89年/RCA / air RECORDS/R32A-1062)より元カシオペアの向谷実(キーボード)も参加した“ALONE, AT LAST (Remix version)”を追加収録。
(オリジナル発売:1987年3月21日/RCA / air RECORDS/R32A-1026/RAL-8845)

TRACKLIST
1. NON-STOP PARADISE(作曲・編曲:堀井勝美)
2. HOT IS COOL(作曲・編曲:堀井勝美)
3. TO MY COAST(作曲・編曲:堀井勝美)
4. CAN’T GO BACK TONIGHT(作曲・編曲:堀井勝美)
5. AND MY PARTY BEGAN(作曲・編曲:堀井勝美)
6. OUT OF THE BLUE(作曲・編曲:堀井勝美)
7. HOLY SUNSET(作曲・編曲:堀井勝美)
8. ALONE, AT LAST(作曲・編曲:堀井勝美)

Bonus Track
9. ALONE, AT LAST (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)

 

堀井勝美PROJECT 『AVENUE OF ENTERTAINMENT (+3)』 ソニー/air(2023)

リリース日:2023年1月25日
品番:MHC7-30062
価格:2,530円(税込)

セカンドアルバム。難波、鳴瀬、是方、数原、土岐、川瀬に加えて、AB’Sやスペクトラムでも活動した岡本郭男(ドラムス)、八木のぶお(ハープ)など超一流ミュージシャンが多数参加。本作ではドラムで岡本を起用する一方、シンセやプログラミングリズムも多用、80年代後半の雰囲気を色濃く反映し、キャッチ―なアーバンフュージョンを展開。ボーナストラックとしてリミックスベストアルバム『The Way I Feel』(1989年/RCA / air RECORDS/R32A-1062)より“AVENUE (Remix version)”、“MET’S MOTEL (Remix version)”、“BOSTON HOUSE (Remix version)”の3曲を追加収録。
(オリジナル発売:1987年9月21日/RCA / air RECORDS/R32A-1030/RAL-8849)

TRACKLIST
1. GREYHOUND(作曲・編曲:堀井勝美)
2. CAPE COD PROVINCE TOWN(作曲・編曲:堀井勝美)
3. AVENUE(作曲・編曲:堀井勝美)
4. MET’S MOTEL(作曲・編曲:堀井勝美)
5. SEA FOOD RESTAURANT(作曲・編曲:堀井勝美)
6. 20TH CENTURY PARKING(作曲・編曲:堀井勝美)
7. BOSTON HOUSE(作曲・編曲:堀井勝美)
8. ALONE, AT LAST AGAIN(作曲・編曲:堀井勝美)

Bonus Tracks
9. AVENUE (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)
10. MET’S MOTEL (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)
11. BOSTON HOUSE (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)

 

堀井勝美PROJECT 『OCEAN DRIVE (+3)』 ソニー/air(2023)

リリース日:2023年1月25日
品番:MHC7-30063
価格:2,530円(税込)

サードアルバム。青木智仁(ベース)、石川雅春(ドラムス)、林有三(キーボード)、野力奏一(キーボード)など角松敏生のセッションや渡辺貞夫バンドに出入りする精鋭たちに加えて、難波、鳴瀬、是方、向谷、岡本、数原、土岐、川瀬、八木、元プリズムの鈴木”リカ”徹(ドラムス)、本多俊之(サックス)など超一流ミュージシャンが多数参加。大手企業のTV CM曲にも使用されたシングル曲“CRUISING BOY”、NHKドラマや多くのTV番組のBGMにも使用された“HOUSE OF PENINSULA”などを収録。数原や土岐らによるー瞬で聴く者の心を掴むメロディー、シンセやプログラミングリズムも多用しながら、爽快かつキャッチ―なサマーフュージョンを展開。ボーナストラックとして、リミックスベストアルバム『The Way I Feel』(1989年/RCA /air RECORDS/R32A-1062)より“ELISA STREET (Remix version)”、“BREAKWATER (Remix version)”、“ALONE AT LAST, AND THEN (Remix version)”など3曲を追加収録。
(オリジナル発売:1988年6月21日/RCA / air RECORDS/R32A-1038/RAL-8858)

TRACKLIST
1. CRUISING BOY(作曲・編曲:堀井勝美)
2. ELISA STREET(作曲・編曲:堀井勝美)
3. GO AWAY ANYWHERE(作曲・編曲:堀井勝美)
4. HOT CORNER(作曲・編曲:堀井勝美)
5. HOUSE OF PENINSULA(作曲・編曲:堀井勝美)
6. BREAKWATER(作曲・編曲:堀井勝美)
7. THROUGH THE SKY(作曲・編曲:堀井勝美)
8. JUNGLE OF HEAVEN(作曲・編曲:堀井勝美)
9. ALONE AT LAST, AND THEN(作曲・編曲:堀井勝美)

Bonus Tracks
10. ELISA STREET (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)
11. BREAKWATER (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)
12. ALONE AT LAST, AND THEN (Remix version)(作曲・編曲:堀井勝美)

 

堀井勝美PROJECT 『FRONT AND REAR (+3)』 ソニー/air(2023)

リリース日:2023年1月25日
品番:MHC7-30064
価格:2,530円(税込)

4枚目のアルバム。青木、石川、林、野力、本田、難波、鳴瀬、是方、向谷、岡本、土岐、本田、八木に加えて、梶原順(ギター)など角松敏生のセッションや渡辺貞夫バンドに出入りする精鋭たち、ラリー・コリエル(ギター)など超一流ミュージシャンが多数参加。八木、土岐らが奏でる温かみのある音色や一瞬で聴く者の心を掴むメロディー、シンセやプログラミングリズムも多用しながら、キャッチ―なアーバンフュージョンを展開。大手カーエアコンのTV CM曲にも使用された“AN EMPTY SUITCASE”、地上波TVワイドショー番組のテーマ曲としても使用された“ASTRAL WONDERLAND”などを収録。ボーナストラックとしてリミックスベストアルバム『The Way I Feel』(1989年/RCA / air RECORDS/R32A-1062)に収録された新曲3曲“CANDLELIGHT AFTER THE SILENCE”“ETERNAL MOMENT”“WARMDAY, ISN’T IT?”を追加収録。
(オリジナル発売:1989年6月21日/RCA / air RECORDS/R32A-1053)

TRACKLIST
1. SPARKLING WATER(作曲・編曲:堀井勝美)
2. MELAGOCITY NIGHTHAWK(作曲・編曲:堀井勝美)
3. AN EMPTY SUITCASE(作曲・編曲:堀井勝美)
4. ONEWAY TRAVELLER(作曲・編曲:堀井勝美)
5. MAGIC CHAIR OF A FORTUNE TELLER(作曲・編曲:堀井勝美)
6. FUNNY SIDEKICK(作曲・編曲:堀井勝美)
7. SEASIDE CASINO(作曲・編曲:堀井勝美)
8. WHAT’S NEW, MR. JOLLY JOKER?(作曲・編曲:堀井勝美)
9. ASTRAL WONDERLAND(作曲・編曲:堀井勝美)
10. HUMM... ALONE AT LAST(作曲・編曲:堀井勝美)

Bonus Tracks
11. CANDLELIGHT AFTER THE SILENCE(作曲・編曲:堀井勝美)
12. ETERNAL MOMENT(作曲・編曲:堀井勝美)
13. WARMDAY, ISN’T IT?(作曲・編曲:堀井勝美)

 

堀井勝美PROJECT 『SUMMER’S』 ソニー/air(2023)

リリース日:2023年1月25日
品番:MHC7-30065
価格:2,530円(税込)

5枚目のアルバムで初の米LA録音。米ライオン・シェア・レコーディング・スタジオでの録音ではラス・フリーマン(ギター)、ブランダン・フィールズ(ソプラノサックス)などリッピントンズのメンバーや、バジー・フェイトン(ギター)、ジェラルド・アルブライト(アルトサックス)などが参加。日本勢は難波、青木、石川、梶原、本田、土岐、八木など超一流ミュージシャンが多数参加。フィールズ、土岐、ブライトらサックス勢、八木らがリードをとるキャッチ―で爽快なサマー~アーバンフュージョンを展開。NHK連続テレビ小説「凛凛と」のテーマ曲“GREEN”、TBS「筑紫哲也 NEWS23」でも使用された“WAIKING ON AIR”、地方局TVのバラエティー番組のテーマ曲にも使用された“SUMMER’S”などを収録。
(オリジナル発売:1990年6月21日/RCA / air RECORDS/BVCR-10)

TRACKLIST
1. Summer’s(作曲・編曲:堀井勝美)
2. Green(作曲・編曲:堀井勝美)
3. Walking On Air(作曲・編曲:堀井勝美)
4. Just Newly Born!!(作曲・編曲:堀井勝美)
5. Wild Night (Guitar Version)(作曲・編曲:堀井勝美)
6. Lucky Rascal(作曲・編曲:堀井勝美)
7. Vanity Fair(作曲・編曲:堀井勝美)
8. Wild Night (Sax Version)(作曲・編曲:堀井勝美)
9. Alone At Last, For This Summer(作曲・編曲:堀井勝美)